結局いま強い政党はどこなのよ(power indexという考え方)

個人的には「政権交代は手段、政策実現が目的」という国民民主党の考え方や姿勢は好きだが、政権交代と思われるマスコミの報道を見ると正直よくわからん状況やなぁと思う。
なので、議員数も踏まえつつ結局いま影響力が強い政党はどこなのかpower indexで見てみました。

power indexって何なの?

例えば3党21人で構成される議会(A党10人、B党1人、C党10人)を考えます。議員数で見ればACが圧倒的でBはたった1人しかいない。でも過半数11人で議決できるとしたら、AB、BC、ACのどの組み合わせでも議決できる訳で、すなわちABC各党の力の大きさは同じだよね、と。

こうした考え方を指標化したがpower indexで、その定式化として最も有名なのがシャープレイ=シュービック投票力指数(Shapley–Shubik power index)。ゲーム理論(協力ゲーム・単純ゲーム)で開発された指標の1つで、株主総会における株主の力(何%の株を持っていると、どのくらいの影響力があるか)など、いろいろな分析に使われている。もちろん政治の世界の分析でも。

詳しい説明をイチから書くよりはとWikipediaをのリンクを貼ったけど、詳細はググったりパプったりでどうぞ。

準備

今回の政党の組合せの数を手計算はツラい、計算プログラムをイチから作っても良いけどShapley–Shubikくらいなら既に誰か作ってるだろうと探して、RのGameTheoryパッケージShapleyShubik関数を使った。図2の計算は家のボロPCでは計算時間が長いww

議席数のデータは以下を使った。なお議席0の政党は計算の都合上無視した。また便宜上、諸派、無所属はそれぞれ1つの政党として扱った。

計算結果

連立与党が一体である前提で計算した結果が図1。そこそこ人数がある政党があと1つ連立与党に加われば過半数に到達する状態なので、それを満たせる3つの政党の投票力指数は同じ。

図1:連立与党が一体化している前提での議員数と投票力指数の分布

つまり立民も国民民主党も数字上は議会に対する影響力が変わらない。あとは公約とした政策の実現に向けて早々に行動している方が目立ち、生産的でない方が埋没して見えるというところか。

一方で、連立が必ずしも一枚岩ではなかったら。例えば公明党も自らの政策実現のために必ずしも連立にこだわらず動くようになったとして計算した結果が図2。結果として立民や維新の影響力は国民民主党より上になる。

図2:公明党が連立より自らの政策実現を優先した際の議員数と投票力指数の分布

もちろん票数の多い自民が相対的に強いのは当然として、自民と組んですぐ過半数を超えられる議員数があるのは立民だけなので、こうした状況になれば立民の存在感の方が増すことに。

立民が今のまま政策ではなく政局で議論するなら、過去に失敗した野党糾合より、目立つ他党を叩くより、政治と金の問題だけが論点で良いのかは別として、連立与党を割る(それが公明党の離脱か自民党内の一部勢力の分裂かはともかく)活動の方が、埋没しないという意味では効果がありそう。まぁ個人的には議会は政策を論じる場であってほしいけど。

最後に

本来なら、どの党とどの党は提携がありえる/ありえないみたいなことも取り込む方が現実で、その際の力の大きさを数値化するのはMyerson値という発展形が存在する。ちなみにMyerson値でも扱えない事象があるので改良していたのが昔の僕の研究だったりする。

ただ、どの党とどの党は提携がありえる/ありえないみたいなことを真面目に検討して、提携可能性に関する妥当な構造を決めるのは決して簡単ではなく、加えてMyerson値などの発展形の指標を計算する既存のライブラリ等はないのでイチからプログラムを書く時間も必要になる。これらを考えて次を書く頃には、首班指名とか諸々ひと段落して僕自身も関心が薄れてそうだし、今回の分でもう良いか( ´∀` )と思ってたりする。

ちなみにデータ分析的にはコッチも面白かったので、興味のある方にはお勧めします。

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仕切り直しで収集情報の整理から|くすぐったがり|note

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