1990年代からのデフレと金融緩和|トルコ経済の基礎認識 for リラ円ロンガー Part4
トルコ経済の基礎認識、今回はPart4です。
この記事では、以下を達成することを目的としております。
・トルコの政策金利、今後どうなるの?を解き明かす
Partで分けながら説明する理由は、Par1に記載のとおり。
今回は以下について記載します。
・1990年代からのデフレと金融緩和
では、本題。
これまで、日本経済の体質を説明してきました。
その体質に、金融緩和は合っていたのか。
今回はこれを考え、金融政策の理解を深めていくPartです。
Part2で、日本銀行が公表している我が国の需給ギャップ(2013年以降)を掲載しました。
また、この期間の需給ギャップ、そのショート解説もPart2に掲載しました。掲載内容は以下。
当時は、こういう体質に対して、
・まず、浴びせたのが、(2)の消費税増税
・次に、処方したのが、(3)と(7)の金融緩和
です。
その結果、
・(2)の消費税増税で、需給ギャップがより悪化
・(7)の金融緩和で、需給ギャップが持ち直し、プラス化
です。
医療に例えると、
・消費税増税で、患者を病気にして
・金融緩和という薬を出す
です。
医療で例えると、とっても恐ろしい感じです。
しかし、政策として実行されました。マジです。
ただし、この消費税増税は、あの民主党(現在の立憲民主党と国民民主党)が増税案を成立させ、自民党が法施行したものです。
国民の大半がこういう政党(自民党、民主党)に票を入れたわけですから、国民も消極的ながら賛成したもの、こういうことですね。「いやいや、俺は賛成してない」って聞こえてきますが(笑)問題は当時、自民党と民主党以外に有力な選択肢が無かったことでしょうね。そういう意味では今、維新、国民民主、参政党や保守党といった新興勢力が育ちつつあるのは、良いことです。
ということで、日本経済には「消費税増税」という逆風が吹きましたが、その後に打たれた追加金融緩和によって、需給ギャップのプラス化は達成できました。そういう意味では、日本経済の体質に合う薬だったと思われます、金融緩和は。
しかし、コロナ禍を経て、再び、需給ギャップはマイナスに陥っています。
つまり、金融緩和は、日本経済の体質改善にまでは効果が及ばなかったということです。
アベノミクスでは、金融緩和に加えて、
・成長戦略
・その成長戦略を実行する財政出動
を三本の矢とし、日本経済を立て直そうとしました。
この政策のビジョンとしては、「金融緩和で時間稼ぎをし、成長戦略で体質を改善し、経済を軌道に戻す」というものであったはず、です。
しかし、体質の改善策が、
・外国人旅行客(インバウンド)
に偏っていました。
・対外競争力のある産業
これも育成できていれば、つまり、インバウンドに加えてもう一つの柱が出来ていれば、また違った未来になったように思います。
ただし、
・コロナ禍
が発生せず、
・インバウンドによる日本経済押し上げが現在まで継続
していれば、需給ギャップはプラスであり続けたかもしれません。
そういう意味では、今でも評価が難しいところですね。
今回は、日本で実際に行われた金融緩和とその効果を振り返りましたが、金融政策の理解は深まりましたでしょうか。
さて、ここまで「経済の体質、その見極め方」について、複数回に分けて、説明して参りました。
体質の話をすると、つい、体質改善の話になりがちです。
しかし、今回の目的は「トルコの政策金利、今後どうなるの?を解き明かす」ですから、体質改善の話は正直、必要ありません。なので、体質改善の説明はまたの機会に譲りたいと思いますが、経済の体質を構成するものには、人口、年齢層、社会インフラ、国民の知性水準、など、様々です。これらのどれもが、経済の体質と関係していること、そして、これらを改善するには実効性のある政策を、根気強く、長く続けていく必要がある。つまり、ものすごいエネルギーが必要だ、ということだけ、お知りおきください。
そして、このPart4までの内容を理解されれば、マクロ経済、つまり経済全体をどの角度から見ていけば分かりやすいのか、軸足が出来上がっていると思います。次回のPartでは、その軸足に肉付けをおこなっていきます。それが、「経済の体調、その見極め方」です。