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1990年代からのデフレと金融緩和|トルコ経済の基礎認識 for リラ円ロンガー Part4

トルコ経済の基礎認識、今回はPart4です。
この記事では、以下を達成することを目的としております。

・トルコの政策金利、今後どうなるの?を解き明かす

Partで分けながら説明する理由は、Par1に記載のとおり。

今回は以下について記載します。

・1990年代からのデフレと金融緩和

では、本題。

これまで、日本経済の体質を説明してきました。
その体質に、金融緩和は合っていたのか。

今回はこれを考え、金融政策の理解を深めていくPartです。

Part2で、日本銀行が公表している我が国の需給ギャップ(2013年以降)を掲載しました。

日本の需給ギャップ(日本銀行公表データ)

また、この期間の需給ギャップ、そのショート解説もPart2に掲載しました。掲載内容は以下。

(1)2008年第4四半期から2013年第3四半期まで、需給ギャップはマイナスが継続(1990年代から続くデフレの時代)
(2)民主党政権だった2012年8月に消費税は5%から8%へと変更されることが決まる
(3)2013年から金融緩和(アベノミクスの三本の矢の一つ)始動
(4)2014年4月から消費税が8%に変更される
(5)2013年第4四半期から2014年第1四半期にかけて、消費税増税前の駆け込み需要で需給ギャップはプラスに浮上
(6)消費税増税による需要の減速で、2015年から2016年にかけて需給ギャップは再び、マイナス圏に
(7)経済状況が改善しないことから金融緩和を強化、2016/1/29にマイナス金利導入
(8)マイナス金利導入により需給ギャップが持ち直し、ようやく消費税3%の増税による需要減少をカバー
(9)コロナ禍に突入し、全てが台無し

経済の体質の見極め方|トルコ経済の基礎認識 for リラ円ロンガー Part2

当時は、こういう体質に対して、

・まず、浴びせたのが、(2)の消費税増税
・次に、処方したのが、(3)と(7)の金融緩和

です。

その結果、

・(2)の消費税増税で、需給ギャップがより悪化
・(7)の金融緩和で、需給ギャップが持ち直し、プラス化

です。

医療に例えると、

・消費税増税で、患者を病気にして
・金融緩和という薬を出す

です。

医療で例えると、とっても恐ろしい感じです。
しかし、政策として実行されました。マジです。

ただし、この消費税増税は、あの民主党(現在の立憲民主党と国民民主党)が増税案を成立させ、自民党が法施行したものです。

国民の大半がこういう政党(自民党、民主党)に票を入れたわけですから、国民も消極的ながら賛成したもの、こういうことですね。「いやいや、俺は賛成してない」って聞こえてきますが(笑)問題は当時、自民党と民主党以外に有力な選択肢が無かったことでしょうね。そういう意味では今、維新、国民民主、参政党や保守党といった新興勢力が育ちつつあるのは、良いことです。

読んでくれてありがとう!

ということで、日本経済には「消費税増税」という逆風が吹きましたが、その後に打たれた追加金融緩和によって、需給ギャップのプラス化は達成できました。そういう意味では、日本経済の体質に合う薬だったと思われます、金融緩和は。

しかし、コロナ禍を経て、再び、需給ギャップはマイナスに陥っています。

つまり、金融緩和は、日本経済の体質改善にまでは効果が及ばなかったということです。

アベノミクスでは、金融緩和に加えて、
・成長戦略
・その成長戦略を実行する財政出動
を三本の矢とし、日本経済を立て直そうとしました。

この政策のビジョンとしては、「金融緩和で時間稼ぎをし、成長戦略で体質を改善し、経済を軌道に戻す」というものであったはず、です。

しかし、体質の改善策が、
・外国人旅行客(インバウンド)
に偏っていました。

・対外競争力のある産業

これも育成できていれば、つまり、インバウンドに加えてもう一つの柱が出来ていれば、また違った未来になったように思います。

ただし、

・コロナ禍

が発生せず、

・インバウンドによる日本経済押し上げが現在まで継続

していれば、需給ギャップはプラスであり続けたかもしれません。

そういう意味では、今でも評価が難しいところですね。

今回は、日本で実際に行われた金融緩和とその効果を振り返りましたが、金融政策の理解は深まりましたでしょうか。

さて、ここまで「経済の体質、その見極め方」について、複数回に分けて、説明して参りました。

体質の話をすると、つい、体質改善の話になりがちです。

しかし、今回の目的は「トルコの政策金利、今後どうなるの?を解き明かす」ですから、体質改善の話は正直、必要ありません。なので、体質改善の説明はまたの機会に譲りたいと思いますが、経済の体質を構成するものには、人口、年齢層、社会インフラ、国民の知性水準、など、様々です。これらのどれもが、経済の体質と関係していること、そして、これらを改善するには実効性のある政策を、根気強く、長く続けていく必要がある。つまり、ものすごいエネルギーが必要だ、ということだけ、お知りおきください。

そして、このPart4までの内容を理解されれば、マクロ経済、つまり経済全体をどの角度から見ていけば分かりやすいのか、軸足が出来上がっていると思います。次回のPartでは、その軸足に肉付けをおこなっていきます。それが、「経済の体調、その見極め方」です。

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