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#21 X1 SUPER 2020第3節第1日
世の中は3連休だが、家の中で過ごせるならそれに越したことはない。しかもX1 SUPERは連休に合わせたかのように最終節のカードを1試合ずつ組んだので、じっくりと観戦するしかないだろう。
Bブロック オービック 35-34 パナソニック
ただでさえ変則的なリーグ日程の中、1チーム出場辞退によって3チームの総当たりとなったBブロックは、大方予想通りの展開となりこの試合がジャパンエックスボウル(JXB)出場を賭けた大一番となった。
先発QBはパナソニック・ローレンス、オービック・ロックレイと大黒柱が出場。結局この試合の重要性からか、一度も第2QBが登場することなく試合を完遂した。
1Q、最初の攻撃シリーズでテンポ良くダウン更新を続けて一気にTDを奪ったオービックに対し、その直後にRBジャモーのキックオフリターンTDで反撃するパナソニック。しかしオービックは次のシリーズでRB李の個人技を活かしたセカンドエフォートからTD、1Q前半6分までに両チームで3本のTDを挙げる荒れた展開。特にパナソニックのDLがほとんど機能していない状態でオービックが一気に畳みかけた。
2Q早々、1Q最終盤のチャンスからTDを挙げたパナソニックだったが、モメンタムはまだオービック。ただ、パナソニックのディフェンスが少しずつフィットしてきて、オービックのランプレーがこのあたりからほとんど出なくなった。一方のパナソニックはジャモーのランがコンスタントに出て、その合間にレシーバーを分散させながらパスを通していき、前半終了時の点差(オービック 28-17 パナソニック)ほどの大きな差があるようには思われなかった。
3Q、ハーフタイムを経てモメンタムががらりと入れ替わった。パナソニックのDLの出足が鋭くなり、ランが出なくなった。2回続けてランを封じられ、3rdダウンで苦し紛れのパスが通らずにスリーアンドアウトのシーンが続き、フィールドポジションも相当苦しい中でのプレーを強いられた。パナソニックは2本のTDを決めて逆転に成功、3点のリードで4Qへ。
4Q、先にスコアしたのはFGのパナソニック。ただ、ここでFGでなくTDであれば展開も変わっていただろう。そういう意味ではオービックのディフェンスが3点で抑えたといえる。残り4分、ロックレイからWR前田へのロングパスTDが決まってオービックが1点リードを奪う。ここから点差と時間を見ながらジリジリするサイドライン上の戦いに突入する。
反則で徐々に追い詰められるオービックに対し、残り時間を出来るだけ残さずにFGで逆転したいパナソニック。残り1分を切った時点でエンドゾーンまで20ydsを切ったパナソニック、普通ならランプレーで時間を流しにかかるところだが、なぜかサイドライン沿いにパスを投じるなど不可解なプレーがあった。
そしてあと残り2ydsというところ、ローレンスがタックルを受けてボールをファンブル、これをオービックがリカバーして試合が決した。試合残り17秒。オービックにしてみれば絶体絶命の大ピンチでディフェンスの大仕事が決まった。
思い返せば昨シーズンのレギュラーシーズン第7節(対富士通戦)、残り3秒でFGを決めれば逆転勝ち、距離からしても問題ないと思われていたのにそのFGをブロックされたあのシーン。最終盤まで集中力を切らさなかったオービックディフェンスの勝利と言うべきか。
公式スタッツを見ると、ランもパスもパナソニックの方が上回っている。特にオービックのランは76ydsしか出ておらず、徹底したパナソニックのランディフェンス(特にRB李対策)が奏功していた。数字で見るとパナソニックが有利なのだが、細かなミスが目についた。最後のファンブルロストもそうだし、3Q1本目のTD後のPATキックがブロックされ、試合が1点差に終わったので結果的にこのブロックの差とも言える(2本目のTD後のPATは2ptコンバージョンを成功させてはいたが)。
これでオービックは4年ぶりのJXB出場が決まった。前回はいい所なく富士通に屈しただけに、ここから約4週間の準備が大事になる。特に3Qでモメンタムを失ったところでサイドラインを含めてオフェンスチームは何も打開策が見出せていなかった。ボウルゲームでこれでは致命的になるだけに、オプションプレーの用意も含めてしっかりと備えておきたい。また、2Q途中でロックレイが傷んだシーンがあった。大事には至らなかったがもしロックレイがいなくなったらルーキーQB小林に試合を託すことになっていた。今さらどうこうできることではないが、チーム編成に課題を残している。
そして今日の試合の中継、解説に富士通OBとパナソニックOBを迎えていたが、Xリーグオフィシャルの中継でこれはどうなのか。両チームのOBを入れるか、両チームのOBを排するかのどちらかにすべきだろう。案の定試合中オービックの情報はほとんど触れられず、パナソニックの情報は豊富だった。また、4Q途中でパナソニックディフェンスの選手がヘルメット・トゥ・ヘルメットの反則を取られて資格没収になったが、その判定後「厳しいですねー」のコメントだった。実際にこれが厳しいジャッジかどうかはわからない。しかし、その直前まで、NFLでは脳震とうのルールがしっかりしている、「コンカッション」という映画でフットボール選手たちの衝撃的な行く末を描いている、と話していたのに、だ。OBを解説席に呼べば肩入れすることは仕方ない。だとすれば、対戦する両チームへの配慮は必要ではないか。