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#16 X1 SUPER 2020第2節第1日

短期決戦のX1 SUPERは第2節、2敗すればジャパンエックスボウルへの道が閉ざされるだけに前節黒星のチームは絶対に負けられない週末がやってきた。

Aブロック 富士通 41-21 IBM

スターティングQBは富士通・バードソン、IBM・クラフトとエース同士の対戦。クラフトは相変わらずパス中心のオフェンスで、今日はいつも以上にTEスタントンへのパスが多かった。一方バードソンは自ら走るプレーも含め、満遍なくボールを送っていた印象だ。

試合前半、富士通のディフェンスがかなり深く守っており、解説者も面食らっていたDB6人の体制。それもあってかIBMのオフェンスはショートパスが多く、一発で1stダウンを連続更新するようなシーンは見られなかった。
一方富士通は最初のオフェンスシリーズで63ydsのパスTDが決まり幸先よく先制。さらに1Q終盤に富士通のパントをIBMレシーバーがファンブルして富士通がリカバー、結果的に40yds以上のゲインとなり、あっさりと2つ目のTD。
2QはIBMの攻撃のテンポが上がり、また富士通ディフェンスの流れが極端に悪くなった。それでもこの12分でIBMが2TDを上げる中、富士通も1TDを上げて一度も追い付かれることなくハーフタイム。

後半は富士通のディフェンスが牙を剥いた。選手を深めに配置しつつ、勝負どころでブリッツを次々に仕掛け、かなりの精度でOLを突破した。これでQBやOLがかなり疲弊した。ここぞという場面でギアが入れられるのは流石にチャンピオンチームというべきか。一方IBMのディフェンスは要所を締めて攻撃権を取り戻すのだが、オフェンスのテンポが悪くすぐにディフェンスの時間に戻される繰り返し。DLブルックスが巨体を揺らして何度もサックを仕掛けるのは非常に見応えがあったが、富士通の組織力を崩すには至らなかった。

試合は富士通が5TD・2FG、IBMが3TD。富士通が撃ち合いを制して2勝目を挙げた。この試合のTDのうちIBMの1本がキックオフリターンによるもので、残りは全てパスプレーによるもの。
富士通は相手の得意な試合展開に応じながらそれで勝つという、相手にとっては一番ダメージの残る勝ち方を今回も見せつけた。公式スタッツでは、ラン獲得が富士通20yds、IBM33ydsと驚異の少なさ。一方のパス獲得は富士通322yds、IBM164ydsとほぼ倍の数字。パスオフェンスに勝機を見出してきたチームがパスで相手の半分に抑え込まれればなかなか勝ち目がない。
とはいえ富士通が磐石の試合展開だったかと聞かれれば、前節の方が完成度の高い試合だったと言える。パスドロップやミスコミュニケーションが目立ち、ランがほとんど出ない(RBサマジーがIBMに徹底的に封じられたというのもあるが)。また、これは両チームに共通することだが、とにかくプレーが粗かった。反則は富士通10回(喪失85yds)、IBM6回(喪失50yds)。富士通がこれほど多くの反則を取られるのはここ数年でもないのではないか。IBMは前半堪えていたが後半緊張が切れたか、ラフプレーで大きく罰退を食らい追い上げムードに水を差したのは惜しまれた。

今日の試合を見て残念だった点が2つ。
1Q途中でプレークロックが故障して、審判の手信号で25(40)秒計測が行われた。なかなか見ないことだ。プレークロックは後半開始時までに復旧したが、今度はスコアボードのゲームクロックが故障して、エンドゾーン奥の電光掲示板頼りになった。選手たちの大舞台だけに細かなところで試合の進行の妨げとなったのではないかと心配だ。
また、中継の実況を富士通フロンティアーズの関係者(かなりの重役)が務めているのがどうしても気になった。この方がアメフト解説の重鎮であることは承知しているが、公平な中継を実現するためには疑問が大いに残る。試合中、IBM選手と富士通選手を比較して「富士通の選手はちゃんとやってるのに」といった趣旨の発言をしていたことで、やはり公平性に問題があると思われた。あえてアーカイブにも残る配信に乗せる必要のない発言はただでさえ気になり、それが富士通関係者から発せられただけにやはり首を傾げざるを得ない。

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