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#10 X1 SUPER 2020第1節第1日
国内社会人アメフトの最高峰、X1 SUPERがついに開幕を迎えた。今まで起こり得なかったトラブルの中、遅ればせながらもなんとか開幕に漕ぎつけた選手、リーグ関係者の方々にファンとして深く感謝したい。
今日はイレブンスポーツで開幕日2試合を観戦した。
1 Bブロック パナソニック 38-0 東京ガス
もともと大阪開催が予定されていたゲームだが、東京ガス側が遠征を伴う試合の欠場を申し出たことから急遽関東開催に切り替わった試合。これによりパナソニックは今年1試合も地元大阪で試合をしないという異常事態に。
東京ガスは2シーズンにわたりエースQBを張ったイカイカとRBホワイトが退団しており、スタートQBは若林。X1 SUPER入り・残留の原動力だったホットラインが2人とも抜けたことでオフェンスがどう変わるか注目したが、残念ながら不発に終わった。前半で4INTを食らい、攻撃のリズムを作れなかった。次戦も格上のオービック戦となるが、対等か、格下のチーム相手にどうゲームを作るのか注目したい若手QBだ。ディフェンスは3つのQBサックを決めるなど随所で奮闘したが、前半に守備の時間が長かったせいか、後半になってライン戦で競り負けるシーンが気になった。
一方のパナソニックは完勝スタートと言っていいゲーム運びだった。攻撃ではRBジャモーが2TDに加えパスレシーブを2回決め、縦横無尽に走り回った。特にセカンドエフォートの強さが光り、これから対戦するLBやCBは相当手を焼きそう。
外国人を含め主力選手はほとんど昨年から引き続き活躍を見せており、チーム戦術へのアジャストにも問題はなさそうだ。キャプテンのDLモトゥが要所を締めて完封したディフェンスは2020年パナソニックのストロングポイントか。
2 Aブロック 富士通 48-3 ノジマ相模原
昨年までリーグ4連覇を遂げている王者富士通と、昨年はリーグ絶不調でX1 AREAとの入れ替え戦まで経験したノジマ相模原の対戦。昨年の戦績を引き継いだかのような一方的な展開になった。
ノジマ相模原は昨年のエースQBロックレイがオービックに移籍し、昨年から在籍する外国人はDBハイタワーだけ。今日のQBは主に小林が務めたがほぼ1試合通じて出場するもパス獲得が166yds(0TD)、ボールを持ってもマイナス15ydsで厳しい結果に終わった。
試合は1Q開始7分で4TDと富士通の圧倒的な攻撃力が光ったが、特にノジマ相模原が慌ててしまい、地に足がつかないうちに28点差を付けられた印象だ。キックオフリターンTD、ランTD2本、ファンブルリカバーTDと電光石火の攻撃だったが、特に4本目のTDはRB登録のトラショーンがQB小林にファンブルフォースを仕掛け、見事に決まったもの。それにしてもトラショーンは守備も攻撃も参加しており、無尽蔵のスタミナは他チームにとって脅威でしかないだろう。
イレブンスポーツで解説者が「富士通は当たり前のプレーを当たり前にこなしているから強い」とコメントしていた。各プレイヤーが持ち場を守りプレーをこなすだけで強さを発揮することこそが難しいのだが、1Qの前半で試合の大勢が決し、1Q後半には早くも第2QBの高木を登場させる余裕も。
短期決戦となる2020年X1 SUPERだが、初戦を見る限り富士通は今年も優勝最右翼と言えそうだ。対するノジマ相模原は、残念ながら完敗と言うしかない試合。次戦に向けて2週間で取り組む課題は多く、相当苦しい船出になった。
2試合を通して感じたのは、新戦力がチーム力の明確な底上げにつながっている場面が少なかったことだ。春季のトーナメントが中止になり、スカウティングができないなかで自チームの戦力向上が絶対的に必要だが、フルコンタクトの練習は夏まで解禁されず、どのチームも戦力の維持が精一杯のように思われた。そのなかで外国人選手を含めた主力が昨年から引き続いて在籍しているパナソニックと富士通が大勝したのだろう(両チームは企業登録なのでクラブの他チームよりは練習しやすい環境であるのも手伝っているだろうが)。今季のX1 SUPERは3節で終わる。劇的な変化はそう起こらなそうなので、ある意味無風のリーグ戦になるかもしれない。