010)親の遺言作成を手伝う

公正証書遺言に必要な書類を収集し、揃ったところで公証役場へ行った。

公証役場で手続きをするには事前に往訪日時の予約が必要で、WEBサイトで自宅から最寄りの公証役場を探して、その公証役場へ電話をかけて往訪の日時を予約した。
電話した際に、これから先の手続きについて簡単に説明があって、公証役場へは合計で2回往訪する必要があることがわかった。1回目は、必要書類を持って遺言を作成したい旨を告げて打合せをするモノで、正式な作成手続きに向けた指導といった感じの打合せ。打合せの相手は、「公証人」というひとで、この人が法律的に効力のある公正証書遺言を作成する人ということになる。
この1回目の打合せには遺言を残す本人の同席は必要無いという事だったので、手続きを主導している僕が一人で行ってきた。書類の内容を確認して、実際にどういう内容の遺言を残したいのかについての簡単なヒアリングがあって、次の往訪は実際の遺言状の作成手続きになるので、遺言者本人が来て、実印を押印する必要があるので実印を持参する旨を告げられた。併せて作成にかかる費用も次の打合せの場で現金で払う必要があるので、その分の現金を持参するようにとの話もあった。
持参した書類は、役所から交付された書類関係は公証人に預けることになり、預金通帳などは公証役場がコピーを取って他の書類関係と一緒に預かる形になり、原本は僕の手元に戻された。さすがに、預金通帳を一定期間預かるなんて事はしないらしい。
これが1回目の打合せ。

そして2回目は、実際に遺言状を作成する手続きとなる。
二人の証人の立ち会いのもとに、公証人の前で遺言者が遺言の内容を告げ、それを書類にまとめるという作業。遺言状の書類は、前回の打合せの内容を元にあらかじめ原稿案として公証人が作成してあり、その内容を確認するような形で打合せは進行。最後に押印して正式な公正証書遺言が完成するといった段取りだった。
この手続きに代理人は参加することは不可能のようで、その場からはなれば待合室みたいな所で、手続きのやりとりがぼんやりと聞こえる状態でボーッと終了するのを待っていた。そのような手続きが終了したら、押印された完成版の原本とその写しとなる謄本の二通の遺言状が封筒に入れて手渡しされた。

そしてもう一通の謄本が作成され、それは公証役場内に保管されるとのこと。そしてさらに、デジタルデータとしても公証役場が保管するという形を取っていて、ほぼ万に一つも無い可能性として公証役場が火事で全焼して謄本が失われたなんていう事態になっても、バックアップが取れている状態にしてくれているらしい。

そんな説明を受けて、手続きは全て終了した。

打合せにかかった時間は、1回目も2回目も30分弱で、当初想像していたよりもとても簡素だった。
というか、書類の収集にあちこち行って、結構な時間待たされて交付を受けたというように、事前作業にそれなりに時間がかかったことが記憶にあったので、その分だけ、実作業の簡単で短時間な様子が際立ったという印象である。
そんな具合で、終わってみると意外なほどあっけなく簡単に公正証書遺言を作成することができた。

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