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米国でのクルーズ船対応に関して

 下船をさせることを英断だ、と言う論調を見ますが、最初に確認された症例の発症日、それ以降のクルーズ日数、クルーに感染者が多いこと、などから考えると、すでに多数に感染していることが予想されます。と言うか感染しているでしょう。現段階で未症状の人は未感染で、マネジメントによって感染を減らせると考えるのはあまりにも楽観的だと思います。

 その感染者数ですが、全数検査をすると、感染者数はダイヤモンドプリンセス号と大きく変わらない可能性があると思います。しかし無症候性感染者の割合を考えると、有症状者のみに検査をすると見かけの感染者数を減らすことができます。見かけの感染者数だけでなく、全数検査か否かも判断基準に入れてください。ダイヤモンドプリンセス号では、3,711名の乗客・乗員全員にPCR検査を施行し、696名(18.8%)が陽性、うち410名(陽性者中58.9%)が無症状とされています。すなわち有症状の感染者は286名。

さて、分散収容することで重症者の入院先を分散できる、と言う意味では賢明な方法だと思いますが、オペレーションは大変です。
オペレーションを実行する上では

・隔離施設の準備(原則、一人ずつ個室、可能であれば室内にトイレ)
 →不十分な施設であれば、施設内感染が蔓延する
・移動手段の確保(陸路?空路+陸路? 座席間隔をどうする? トイレは?)
 →移動時間によっては事前の健康チェックが必須
  不十分であれば移動中の観戦リスク、急変リスクがある
・隔離施設周辺の医療施設の準備
 →予想される数百のオーダーにのぼる感染者に対し、周辺の医療施設は準備できているか?

など数々の課題があります。
・船上には1,000人の乗員が残る
 乗員への対応です。どのようにマネジメントするか詳細は書かれていませんが、記事の中では「船内に留まり、14日間の隔離期間が終われば出港する」と書かれています。1,000人にもおよぶ彼らの14日間の生活を誰かが対応する必要があります。彼ら自身が生活面を互助するのであれば個室隔離になりません。感染の玉突きが止まらず。隔離期間が永遠に続くことになります。初回検査で、発症者・陽性者は圧倒的に乗員が多くなっています。彼らが船上に残ると、ダイヤモンドプリンセス号への対応と同様のマネジメントが必要になります。

単純に下船させればいい、と言うことではない。そして見かけの感染者数は恣意的にコントロール可能である。船内ではすでに感染が蔓延していると考えるのが合理的。と思います。

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