QQ男の諦め力
たまにはQQ男の事を。
QQ男は、何にでも興味があるんだかないんだか、海でいうと「凪」、風でいうと「そよ風」のようにあまり波風を立てない性格。
(声も小さめ。)
現在は大谷翔平選手にぞっこんで野球の季節が終わった今、廃人のようになっている。
QQ女がたまに起こす荒波には流されながらも波打ち際で、急にくる台風にはイヤイヤながらもパラソルを広げ風に乗って何食わぬ顔で、着地する。
(たまにしらぬ顔をして、スルーすることもある。悔しい〜)
そのためQQ女は荒らした自分の跡を見て我に帰り反省するのである。
我々の新婚旅行にはスペインへ行った。
一度あのサクラダファミリアを見てみたい。
(しばらくサクラダファミリーと思ってた。
桜田一家か!)
スペイン語でこんにちはとありがとう、ビールとワイン、いくらですか?だけを覚えていざエスパニョール。
QQ女は海外に行く時は危機管理能力スイッチが入る。安全国日本の感覚のまま行ってはならない。
財布は後ろのポケットなんてもってのほか、バッグの持ち方、お金やパスポートのチェック、電車やレストランを出る時に今一度忘れ物がないかチェックしてでる。
ハネムーンですからいつもより奮発して、現金で20万円分のユーロをQQ女が、何かあったらいけないので念のため日本円で20万円をQQ男がもっていくことに。(いくら使う気だ)
QQ男にウエストポーチ(今は違う言い方なのか?) に貴重品を入れ斜めがけにして前にするよう勧めた。
QQ男は使い慣れないポーチをイヤイヤ持って行くことに。
スペインへ入る前におフランスで乗り換え。
フランスに着きボンジュ〜ル〜などと言いながらご陽気に空港へ降り搭乗ゲートへ向かう。
入る前におフランスのおトイレへ行っとくか。
手荷物があるのでトイレ前のベンチに座り順番にいく。
ここでもう一度ちゃんとパスポートがあるかのチェック。
QQ男は慣れないポーチのファスナーを開け、パスポートを出し「あるよ〜」と言い奥底にしまった。
よし、それでは参ろうではないか、
いざスペインへ〜!
手荷物、ボディーチェックなどを済ませゲート内に入る。
記念撮影をパシャリ。
ローカルレストランとかではクレジットカードがあまり使えないという情報を見て、あと少しユーロに両替しとく?という事になった。
QQ男に預けた20万円が入った封筒を出してもらう。
ゴソゴソと斜めポーチを探っているが一向に出てこない。
「ない」
「え?ない?ちゃんと見て」
ゴソゴソとひとつづつ中の物を出す。
ない。
「ない。もうしょうがない」
と行こうとする。
「えええええっっっっっ!いやいやいや諦め早くない!?ちゃんと探そうよ」
「さっきパスポート見た時にトイレの前のベンチに封筒置いた気がする。もうないよ。しょうがない」
ちょちょちょっと待って、おに〜さん!
に、に、に、20万ですよ!!
大富豪が20円感覚で落としたのとわけが違いますわよ!
なにその全く探す努力もせずの落ち着きのしょうがないはー!!!!トイレまで戻ってとりあえず探すだろ!
ああ、いつもは席を立つ時見返して確認をするのになぜかこの時は私も見なかった。。
こういうのが積み重なり成田離婚を生むのか!など頭を駆け巡り、搭乗ゲートを逆流して外へ出る。
歩いて来たルートを下を見ながら戻り先ほどのベンチへいくと、見知らぬ家族が心なしか楽しそうにキャッキャ言って座っている。(全く関係ないかもしれないよ。ごめんね)
ここでお金が落ちていなかったか?と聞いたってうんという訳がないと思い、ここに封筒が落ちていなかったか?と尋ねる(どちらにしても拾っていたらうんとは言わないか)
え?封筒?
なんのこと?
顔から笑みが溢れてる(ような気がする)
目を舟盛りが乗せられるくらい大きな皿のように見開いてあたりを見まわし歩き回ったけれどどこにも落ちていない。
歩いているスラリとした空港職員のおねえさんに
「お金落としたんだけど〜」
というと
「残念だけど出てこないよ」
とかぶせ気味に言われた。
おまえはQQ男か!
そりゃそうだ。
日本なら希望はもてるがここはおフランス。
しかし何が腹立つかって、お金を落とした事ではなく、無いとわかった1秒後にすぐに諦めたQQ男だ。
これから旅がはじまるのだ。
なんの手も尽くさずすぐ諦めるなんて!
いやいやもうちょっとがんばれよ〜!
頭の中でぶつぶつぶつぶつ
と思っていたところ、天からの声が。
おいQQ女や。
これからこの人間と一生を共に歩んでいくのであろう。
長い人生色々な事が起きる。
長い目で見たら20万円なんて小さなもんではないか。一万円が20枚。
そんなお金のことで腹を立ててこの先この人とやっていけるのか?
QQ男に光が差している。
ああ、これは試されている。
QQ女よ試されているぞー!
この人と一生過ごしていく覚悟はあるのか。
お前の器を試されているのだ!
そう、そうよ。
こういう時の為にお金を2つに分けてきたのだ。
天の声よ、20万円のこと忘れます。
しばらく「あのお金があったらこれを食べれたけどこっちにしとくか〜」とか「あのお金があったらこれ買えたのにね〜」とか1日ぶつぶつ言ってすぐに忘れて旅を楽しんだ。
諦めの早いQQ男は何事もなかったように、朝からビールやらワインを飲む憧れの毎日を楽しみ凪の幸せを味わっていた。
今でもQQ男はすぐに諦める。
私がちょっといいお皿を割ったり何かを壊してしまっても1秒でしょうがないと言い、「諸行無常の響きあり」やら「盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらわす」やら難しいことを唱えるのである。
これはきっと「諦める」のではなく「許す」なのかもしれない。
QQ男は「諦めてQQ女と共に暮らす」
のではなく、
「わがままなQQ女を許して共に暮らしている」と信じたい。。
サクラダファミリーからQQファミリーへ。
12年たった今、もはや20万円分の元は取っているな。