ー少年鑑別所と学校ー
私は過去に少年鑑別所法務教官として非行少年の処遇指導に関わったことがあります。少年鑑別所は、家裁に送られた非行少年の資質鑑別、処遇を主たる任としますが、その他学校や地域の少年非行問題について相談を受けたりもしています。
ですので、よく近隣の学校の先生(教頭先生や校長先生、担任の先生が多かったかな)が少年鑑別所を訪れたりすることもありました。
そこで、日頃学校で激しい悪さ、いじめをし、先生の言うことなど一向に聞かなかった少年が、、、教官の号令一つで規律ある行動をとり大きな声で受け答えをしているさまを見て、時に先生方は驚嘆するわけです。
「あいつが、ここまで変わるとは・・・」
ある先生は「ああいう連中(少年)に言うことを聞かせる秘訣は何ですかね」と聞いてきたり、またある先生は「うちの学校でも集団行動訓練を取り入れようか」と言ってみたりします。
しかしこれらの感想は、いかに表面的にでしか少年を、ひいては物事をとらえていないかの証左であります。
そもそも少年鑑別所と学校では役割が全然違いますし、鑑別所の教官と学校の先生とでは、適用される法律も全然違いますし、与えられる権限も全然違います。
「言うことを聞かせる秘訣は何ですかね・・・」このような言葉は、真に少年と向き合い心を開かせ、彼らの閉ざされた奥深い心の中にある悩みやわだかまりについて共に見つめていこう、というような姿勢をもつ先生からは、決して出てこない言葉なんだろうと思います。そして、このような先生から教育を受けなければならない少年たちも、、、なんと不幸なことだろうと思います。。。
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