反出生主義の私が今現在子供を考えている理由
タイトルにある理由とは、端的に言えば子育てに興味を持ったから。
以下は、長々と自分の気持ちの変化について記した備忘録です。私個人の考えなので悪しからず。
反出生主義という言葉を知ったのは2年前、川上未映子さんの「夏物語」を読んでからなんだけど、その考え自体はずっと私の中にあった。「言語化されるのか。」と驚いた。
いつから子供を持つことに消極的だったのかよく覚えてないけど、大学時代に友達と将来の話になると「子供を持つのは親のエゴだから。」と自分がよく発言してたことは覚えている。なので少なくとも10年前からそういう風には思っていたようだ。
私には3歳下の弟がいる。これもまたいつからだかわからないけれど、「私は望んで長女になったわけじゃないのに」ってずっと思ってた気がする。
「お姉ちゃんなんだからちゃんとしなさい。」の類の言葉が嫌いで、「生まれたのがたまたま私の方が早かっただけで、それは私の意思じゃない」と。「◯歳なんだから年相応にちゃんとしなさい。」は素直に受け入れられたけど、「お姉ちゃんだから」だけはどうしても無理だった。
だから親のエゴで勝手に長女として生まれてきたのに、長女の役目を背負わされるのは嫌だし、思春期の劣等感も失恋もノルマのえぐい仕事も納税も他人からの「早く結婚しないの?(現在最も言われること)」から始まって「葬式はどの業者にするか考えてる?(高齢になったら結婚のノリで聞かれそう)」までの人生過干渉も嫌だ。(過ぎてしまえば乗り越えられたとは思うけど、直面していたときの過去の自分はとんでもなく苦しかったのでやっぱり嫌だ。)
だから、自分の子供には同じ思いをさせたくない。だから子供を産まない。それが私が子供はいらないと思った一つ目の理由。(二つ目以降はまた別の機会に)
そして現在、私は子供を持つことも悪くないなと思い始めている。
現在20代後半、もともと子供を持つことに消極的なので不妊治療までして子供がほしいとは思っていない。自然妊娠となると、数年先のタイムリミットが見えて来る。
だからこれまでもそのリミットは意識していたけど、子供を持つことが正解なのかにずっとたどり着けていなかった。
今のこの「もしかしたら子供を持つのも悪くないな」というふわっとした気持ちが、「子供欲しい!」に変わった時のために逆算すると次の転職では安定した地位を築きたい。
そして私がそのように考え始めた理由は、「子育て」に興味を持ったからである。それもここ2ヶ月の話であり、10年来の「子供産みたくない」がこんな急スピードで変わりつつある自分の変化を自分が一番心配している。
「子育て」に興味を持った理由、それは愛犬の介護。
実家住まいの私には、大学時代の一人暮らしの期間を除いてずっと一緒に暮らしている愛犬がいる。
ヨークシャーテリアの12歳。
5年前の大病を乗り越えて、2年ほど前からは認知症になりながらも日々可愛さに磨きがかかっている。
その子が3月半ばからずっと体調が悪い。
胃腸の動きが悪くなったのをきっかけに、3月はほぼ毎日のように病院に点滴に通った。その頃から全く歩けなくなり、体重は激減し、オムツを取り替え、フードは全てお湯で柔らかくして手から食べさせ、息が上がると居ても立っても居られないほど心配になる。
やっていることは「育児」のようだが、これは「介護」だ。育児なら今後の未来が明るいけれど、介護は終わりに向かって生活を共にしてる実感がかなりリアルな手触りとしてある。
やっていることは同じなのに、ここまで気持ちに差ができてしまうと、「子供を育てるのは明るくて未来があって楽しそうでいいな…」と思うようになってしまった。
(もしこのクソ長い乱文をここまで読んでくださる方がいたら…育児の一つ一つが大変なのは経験はないけど重々承知で、ここでの楽しそうはあくまでも俯瞰的な意味合いなので悪しからず。)
さらに犬が顔を歪めている時、それが膀胱炎の痛みなのか肝臓の負担なのか、部屋の温度が悪いのか、全然わからなくてただただ申し訳ない気持ちなる。
ある程度の年齢の子供だったら、言葉で意思疎通できているのか…そしたら痛みの原因に直接アプローチしてあげられるのにな、と。
言葉で意思疎通できていたら、今のような心配も減らし、何より楽しそう。
そんな風に3月半ばから今日現在まで過ごしていると、未来のある「子育て」に以前よりも興味が出てきてしまった。
こんなポッと出の興味で、10年来の反出生主義が崩れたら私の現在のメンタルがやばいだけなので休憩が必要だと思ってる。(現在転職活動中で3日前に本命落ちた&日々の犬の体調に一喜一憂して食欲減退してるので、メンタル崩す原因は普通にあると思う)
反出生主義じゃなくなりました!!!!ということでは全然ないんだけど(反出生主義という言葉を知って以降、自分をその考えの持ち主だと認めたくない節がある(それについてはまた後日書きたい))、ここ数年ずっと子供を持つことは正解なのか、そこは手を出していい分野なのか、という自問自答をしていて、初めて「子供産んでみたら?」サイドにいる自分から、少しばかりの前向きな意見が出てきたので備忘録として記してみた。