第31章 ツートップ
「今日は天才とカリスマを決めたいと思います。
ツートップで、より強固な集団にしていきます。
我こそは、と言う人は挙手して下さい。
推薦でも良いです」
デシャ・バリ子が言った。
「天才はフツウくん、
カリスマはヘイ・ボンくんが言いと思います」
フツウくんが言った。
「なんていうか、濡れ衣とか寝耳に水だわ」
「それなんか惜しいけど、絶妙にに違う」
「天才が言えばカッコイイと思ってしまう」
「あえて外してんだろってなるわ」
オリ・ハルコンさんが言った。
「他にいなければ、決めてしまいたいんですが、
みなさん、良いでしょうか?」
みんなが言った。
「良いです」
「じゃあ決まりました。2人から志を言っていって下さい。
じゃあ、天才のフツウくんから」
「天才に選ばれたからには、いつもただならぬ雰囲気を醸し出し、なおかつ穏やかで、口数は少なめで、絶妙なタイミングで絶妙なことを言います」
「マジか。しんどすぎるべ。おれじゃなくてよかった」
シュウ・サイくんが言った。
「じゃあ次、カリスマのヘイ・ボンくん、どうぞ」
「カリスマに選ばれたからには、基本的にはフツウくんのスタンスで、それにプラス、ちょっと破天荒気味で、たまに何しでかすかわからない、危うい部分も併せ持ってやっていきます」
「天然で、そういう人じゃないと絶対ムリだべ」
それから、軽いトラブルとか、ちょっとした揉め事とか、
まあ多少色々あったが、
これでやっていこうと言うことで、とりあえず落ち着いた。
オリ・ハルコンさんが言った。
「じゃあ、最後に、座右の名を言って下さい。
天才とカリスマなので間髪入れずに、どうぞ」
天才のフツウくんが言った。
「えー、何も浮かびません」
「なんか、カッコイイ。
天才ぽいと言えばぽい、
ぽくないと言えばぽくないけど」
立て続けに、カリスマのヘイ・ボンくんが言った。
「選ばれていないことの 安心と陰鬱と 二つわれにあり」
下々の群衆が言った。
「太宰治の短編集『晩年』の『葉』の冒頭の一文、ベルレエヌの引用のパロディ」
「自覚あるのか?皮肉?自虐? なんかカッケーな」
「ガチでカリスマっぽい」