Googleの広告営業が雑魚に見える理由
まえがき
だいぶ過激なタイトルですが、これはGoogleの広告営業をディスりたいのではなく、むしろGoogleで働いていた身として、今Googleで働いている仲間に対する誤解を解きたい気持ちです。
なので、「雑魚に見える」であって「雑魚である」理由ではないのです。
かくいう私も「うわ~!いま雑魚だと思われてるだろうな~!」と思う瞬間は少なからずありました。
なぜこんなnoteを書こうと思ったかというと、「Googleの広告営業の人って…」と言われる機会があまりにも多いからです。
その意見に反論したい気持ちです。ただ書き終えて思ったけど、ただの言い訳ですよね、これ。
まぁ元Google社員がワーワー言い訳してるって思って読んでいただければ・・・。
あと私自身に対する誤解をされないためにも言っておくと、これはGoogleの広告営業に対する愚痴でも揶揄でも皮肉でもありません。(一部皮肉はあるけどw)
少なくとも私が働いていた環境では、みんな優秀で尊敬できる人たちばかりでした。
言いたいことは、外から見たGoogleと、中から見たGoogleは違うってことです。
私の経歴はこちらからオネシャス
Googleの広告営業の仕事
Googleの広告営業の目標
Googleの広告営業の目標は、担当しているクライアントのGoogle広告の出稿学を増やすことです。営業ですから。
やり方は大きく2つあります
現在の広告予算を増やす
他の広告予算をGoogle広告に配分してもらう
いずれの方法でも「Google広告ってイイネ!」って思って貰う必要があります。なので「こうしたら改善できる」「こんな新しいメニューができました」という風に提案してくるわけです。
これは他の営業組織と大きく変わりません。
KPIの決まり方や組み方、それに対する営業活動がどのように行われているかは、機密か機密でないのか分からないので伏せておきます。
ただ1つ言えることは、Google広告の営業が「これ導入してください!」とか「このスコアを上げてください!」っていう時は、そのほとんどがKPIに紐づいています。
Googleの広告営業の組織
これも機密か機密じゃないか分からないのでザックリと。
わたしが在籍していた時と変わらなければ広告営業の部署は3つ〜4つくらいあり、それぞれ事業規模や広告出稿額に応じて振り分けられています。
みんなやることは大きくは変わらないけど、持ってるクライアントの数が違うので、営業組織の動き方が違います。
広告出稿額が大きいところは当然事業規模も大きいので、いろいろなサービスがあり、そのサービスの数だけ広告アカウントがあります。
一方で広告出稿額が小さいところは主要サービスだけ広告出稿をしているケースも多く、広告アカウントが少ないです。
必然的に事業規模が大きいクライアントを持つ営業は担当企業数は少なく、逆に事業規模が小さいクライアントを持つ営業は担当企業数は多くなります。
1人が担当する広告アカウント数の部署ごとの違いは正直分かりません。
いずれにせよ、1人の広告営業が担当する広告アカウント数は10個、20個を超えることはザラにあります。
私の場合は最終的に30〜40アカウント担当してたと思います。
Google広告の営業が持つデータ
「Google広告の営業は、社員しか知り得ないすごい情報を持っている」と思われがちですが、実はそんなことありません。
見れるデータは他広告主の配信実績や、一部の検索データくらいで、実は広告営業が持っている情報はGoogleが外部に公開している情報とそんなに大きく変わりません。
毎年Googleが開催しているGoogle Marketing Liveの情報も、事前にふんわり雰囲気だけ教えてもらえる程度で、終わった後に「え!?そんな発表あったの!?」と思うことも多々ありました。
一応、Google広告の各機能の詳細資料は見れますが、例えば広告ランクがどのような計算式で決まっているか、自動入札のシグナルがどのような重みづけで決まっているかは明かされていません。
あとはGoogleが定めるデータ開示ポリシーに沿わないとクビになる可能性があるので、積極的に危ないデータを開示する人はいないです。
Googleの広告営業が雑魚に見える理由
前置きが長くなりましたが、本題の「雑魚に見える理由」について、私見を述べたいと思います。
雑魚に見える理由は大きく3つ。
売上以外の目標を立てられる
KPI・OKR達成に向けてひたむき
期待値が高すぎる
売上以外の目標を立てられる
前段でGoogleの広告営業の目標は売上と紹介しましたが、これは営業活動におけるKGI的なものです。
KGIが達成できていない時、当然KPIの達成率も見られますよね。
例えば特定の機能の導入率とか、最適化スコアとかですね。
偉い人たちは数字でしか語らないので、そういった営業指標の達成を求めてきます。
結果的に、良くも悪くもその営業指標の達成を目指すので「最適化案の自動適用」とか、「P-MAX」をゴリ押してくるわけです。
なのでGoogleの広告営業が考えてP-MAXを提案しているというよりは、中の偉い人たちが「これを売れ!」って言ってるから売ってるんです。
「じゃあ中の偉い人が雑魚なんだ!」って思うかもしれませんが、そうではないです。少なくとも偉い人はつよつよのビジネスモンスターですし、その機能の導入率が上がれば売上も上がると数字で分かっているので、そういう方針になってるんです。
KPI・OKR達成に向けてひたむき
「だったらその機能が自分たちのビジネスにどう貢献するか、もっとロジカルに提案をくれよ!」っていう声もあると思います。
ハッキリ言います。
何十アカウントも見てて、そんな提案を1つ1つ作ってる時間はありません。きっとあなたへの優先度が低いんだと思います。
「質」はもちろん大事ですが、「量」も同じくらい大事です。
たくさんのアカウントに提案をする時、ワーワー言ってくるクライアントより「そうなんだ!Googleすごい!」ってすぐ新しい機能を導入してくれるクライアントの方が重宝しますよね?
良くも悪くもGoogleの広告営業は自身のOKRやKPIの達成にひたむきなので、その目標を達成できる最短距離で進んでいきます。
多くのアカウントを見てるので、ワーワー言って機能を導入してくれないお客さんがいれば、「はいっ次ー」という感じで別のクライアントに提案しに行くことも少なくありません。
もちろん出稿額が大きければ、粘り強く提案をしてくるかもしれません。
しかし、彼らには彼らのポートフォリオや営業戦略、OKRがあるので、出稿額が増えれば優先度も上がる、というわけではないのです。
期待値が高すぎる
最後に、Googleの営業に対する期待値が高すぎます。
Googleの広告営業の殆どは、自分でGoogle広告の運用をしたことがありません。
中には私みたいにデジタル専業の代理店で運用をしていた人もいますが、非常にレアです。
なので専業代理店でゴリゴリ運用している人の方が、Google広告に詳しいなんてことはザラです。
また先述の通りGoogleの広告営業は、みなさんが想像するような「社員しか見れない内部データ」をほとんど持ち合わせていません。
競合や他アカウントの情報も、クビになる恐れがあるので外部に出せません。
さらに言えばGoogleの広告営業は、Googleで生まれて育ったわけではないです。全員が全員優秀とは限りません。
少なくともみんな地頭は良くて、人柄も良くて、話が通じないということは全くありませんでした。ただ自己成長や目標達成に貪欲かどうかは人それぞれです。
そしてGoogleはとても良い会社です。18時頃にはみんな帰路につきはじめ、19時になると殆ど人は残っていません。
OKRさえ達成してれば何でも良くて、必要以上に時間を仕事に捧げる人は希少種です。
私はどうしていたのか
正直Googleに入る前から、Googleの広告営業の介在価値とは何なのか、悩みながら入社しました。
しかも私が在籍時に担当していたクライアントはデジタルマーケティングの知見も深く、一筋縄ではいかない人たちでした。
結局退職するまで何が正解か分からず、もがき続けていたと記憶しています。
でもGoogleの広告営業という立場のおかげで、相手を納得させるスキルや、物事を分かりやすく説明する能力がついた気がします。
もしかしたら私も雑魚だと思われていたのかもしれませんが、「雑魚だと思われたくない」という思いのおかげで得たものも沢山ありました。
つまりはGoogleは良い会社だったってこと。(適当)
最後に
ということでGoogleの広告営業が雑魚に見える理由を紹介しました。
総じて言いたいことは「Googleの社員だからって、すごい情報を持っているわけではない」ということと「みんな色々あるのよ」ってこと。
最後に、自分はGMO NIKKOにいた時、人の悪い部分しか見えなかったけど、Googleに入って人の良いところも見えるようになりました。
Googleに在籍中、「この人の○○には敵わないな」とか「この人の⬜︎⬜︎は真似できない」と思うことが、かなりありました。
それこそクライアントのこと放っておいて18時に帰宅とか、その図太さは最後まで真似できませんでした(皮肉)
でもこれって、我々が日本の商習慣・サービス精神に脳がやられてるだけなんです。それにGoogleが強すぎて、「営業が気に食わん!広告止める!」ってならないしね。
確かにあぐらをかいてるところはあるかもしれないけど、それと雑魚なのかは別問題です。
まぁ辞めた人間がギャーギャー言うのも変ですが、そんなにGoogleの広告営業を責めないであげてください。