アメリカで映像ディレクターとしてアーティストビザとった話 その5:ポートフォリオとAdvisory Opinionレター、そして提出、結果がでるまで
前回のおさらい:
まず作成する書類一覧がこちら
・最新の履歴書
・向こう3年の仕事の予定表
・ジョブレター(仕事の依頼文書)
・ポートフォリオ(過去の作品、受賞歴、メディアに掲載されたなど)
・推薦書
・公式書類(”非移民ビザ請願書”など移民局からの公式のフォームなど)
・エージェントレターとアグリーメント(契約書)
ということで、前回は
向こう3年の仕事の予定表、ジョブレター(仕事の依頼文書)、推薦書
について書かせていただきました。
今回は何を書くかというと
まずはポートフォリオ
今回ですが、ポートフォリオの作り方や公式書類(”非移民ビザ請願書”など移民局からの公式のフォームなど)の書き方などを、詳しく説明はしません。
これは、弁護士さんから指示がありますし、色々なアーティストビザを獲得された方々が書き方などをのnoteやブログなどですでに公開されていますしね。あえて私もしなくてよいかなと。
ですので、今回は私が思う”ポートフォリオ、こうした方がいいかも”というおすすめポイントや、小さな疑問に対する私の答えを共有します。
Advisory Opinionレターについて
そして前回、ちょっとだけ書き記した”Advisory Opinionレター”をどうやってもらうのか?についても述べていきます。
移民局に送付、待ち、結果、大使館面接まで
あとは、上記タイトル通り、この流れを解説。
ということで今回は有料記事ではございません!
ポートフォリオを作るの大変
私のポートフォリオは表紙をいれて合計70ページの超大作でした。ポートフォリオは全部自作です。毎日、仕事の合間を縫って、こつこつ作り上げていました。長かった。
ポートフォリオにいれる情報
私の場合は映像ディレクターなので、
作品名、作品の内容、リリース日、制作会社、作品の画像など、
書き込み&入れ込みをました。作品の画像の数は多い方が良いようです。
これに加え、その作品が
- 何か賞を取っていれば賞の詳細、証拠画像
- 新聞記事などメディアで紹介されていればそのメディアの詳細、証拠画像
- 著名人からのレビューがあれば証拠画像
など、作品にまつわる外部からの評価も付け加えていきます。
どんな小さな賞でも、誰も知らないだろうメディアでも、よいです。
付属情報を付け加えて、作品の価値に厚みを持たせます。
例えば私の場合ですが、テレビ番組用に制作したドキュメンタリー番組が、
日経新聞のテレビ番組ページの本日のおすすめ番組紹介欄に小さく載ったんです。その時、たまたま日本帰国中で、たまたま見つけて、切り抜いてスキャンして、ポートフォリオに載せました。これも立派なメディア掲載です。
自身の作品や自分自身のメディア掲載に関しては、
新聞やマガジン、WEBマガジン媒体などで、作品についてや、自分自身についてのインタビューを受けたりしていると、卓越した能力を持っている証拠として強いのですが、私は持っていませんでした。
アーティストビザを取得するために、メディア掲載要素が欲しくて、知り合いの雑誌のエディターさんにお願いをしてインタビューしてもらう、というやり方もあります。私の場合、そのエディターさんにお礼として返せるものが現状見当たらないのでやめました。でも私は、メディア掲載なしにアーティストビザを取れたので、メディア掲載は、なくても大丈夫のようです。(もちろんあった方が強いです。)
ポートフォリオに載せる作品
"自分がメインの仕事"として作り上げた作品はもちろんですが、自分がメインのディレクターではないけど、サブのディレクターとして関わった仕事も私は載せました。報道番組で1分ぐらいしか使われなかった仕事も載せました。
また、仕事ではない自主作映画も、映画祭で賞を取った作品、取ってない作品も載せました。自主作は意味がないかな〜と思っていたのですが、できるだけ作品は載せた方が良いとの弁護士事務所さんからアドバイスをいただいたからですね。
ただ、どの作品もポートフォリオに載せるための画像が必要です。一部の作品は、一般公開をされていない作品だったのでがなかなか画像が見つからなかったのですが、YouTubeやらXやらで画像を探し見つけ出しました。というくらい画像は絶対です。
また、ディレクターとして、講演会のゲストスピーカーをしたこともありまして、それも載せました。掲載する画像はゲストスピーカーとして喋っている時に撮られた写真です。あとコンペではなく、一般的な映像コンテスト(この商品を使って映像を作ろう系の)で勝ち残ったことも載せました。
というように、とりあえずポートフォリオはなんでも載せます。ポートフォリオに加える意味がない作品は、弁護士事務所さんから外すように指示があるはずです。
私は思いつきで思い出しながら作業をしていたので、後からあれもこれもある追加していったので時間がかかったのですが、事前に自分の仕事を時系列を整理して書き起こしておいた方が正しく思い起こせるし作業が早いかと思いました。
私の場合、ポートフォリオは何度も弁護士事務所さんに見てチェックをしていただき、修正を重ね、最終的に70Pの超大作になりました。弁護士事務所さんは、もちろんのこと、ポートフォリオ作成には慣れているので明確かつ適切なアドバイスをいただき、本当に助かりました。
Advisory Opinionレター
Advisory Opinionレターについては、こちらで一度記載ををしましたがー
Advisory Opinionとは直訳すると、助言的意見。
映像ディレクターとして、アーティストビザを取得するには、DGAとAMPTPという団体から、Advisory Opinion レターをもらう必要があります。
DGAとはDirector Guild Americaの略で、全米監督協会のこと。アメリカの映画産業で働く映画監督やテレビ監督の労働組合です。
AMPTPは、Alliance of Motion Picture and Television Producersの略で、全米映画テレビ制作者協会のこと。メジャー映画会社やテレビ放送網の有力プロデューサーの利益を代表する組織になります。
全米の映像を代表するこの2つの団体から、”この人はディレクターとして卓越した能力がある人ですよ”というお墨付きの文書をもらわないといけません。つまり、これがAdvisory Opinionレターです。
DGAからはそう簡単にAdvisory Opinionレターはもらえない!
私の友人が映像ディレクターとしてアーティストビザを申請するために、Advisory Opinion レターをDGAからもらおうと弁護士経由で申請をしたのですが、却下されました。友人のディレクターとしての履歴は、大学院時代の学生としての映像制作のみだったからが理由のように思います。友人の卒業制作の作品はいくつかの小さな映画祭で賞もとっていましたが、つまり、それだけではDGAは協力をしてくれないということですね。DGAからのAdvisory Opinionレターはなく、結果として友人は、アーティストビザの申請も却下されてしまいました。
友人の場合、そもそも、ポートフォリオにもいても卓越した能力を示す証拠となる作品数が少なすぎるので、DGAにも、そして移民局にも却下されただと思います。
では、どうやったらDGAからAdvisory Opinionレターをもらえる?
正直な話、私にはどうやったらもらえるかはわかりません。
DGAのAdvisory Opinion レターに関しての書類作成は、私の知らないところで弁護士事務所さんが全てやってくれていました。アーティストビザ取得のための書類がまとまってきたところで、弁護士事務所さんからDGAのAdvisory Opinion レターをもらう申請をします、と連絡を受けたんですが、
このために特別に書類を作成するように弁護士事務所から指示を受けませんでした。つまり、弁護士事務所さんが勝手にやってくれたので、彼らがどうやって申請をしたのかはわかりませんでした。
どうやったらDGAからAdvisory Opinionレターをもらえるかが気になる方は、まずその前に
自分がお願いする、または相談をする弁護士事務所さんに、自分はDGAのAdvisory Opinion レターがもらえると思うか?を最初に確認されたほうが良いかと思います。
アーティストビザを取れなかった友人の弁護士事務所は、DGAからAdvisoryレターをもらえなかったので、必ずしもすべての弁護士事務所が、DGAからAdvisory Opinion レターをもらえるとは限らないと思いました。
そもそもですが、申請希望者のアーティストビザ取得の可能性が低いとわかっていても、お金のために申請代行を引き受ける弁護士が存在します。
そのため、申請希望者の経歴が弱いとわかっていても引き受けて、申請希望者は高い代行費を支払い、DGAのレターをもらえず、移民局からも申請却下を受けることになります。申請が却下されたから、それなら代行費用も返金とは、ならないので、お金の無駄になります。
なので、必ず弁護士事務所さんには、依頼をする前に、自分の経歴で、DGAが通るか確認しましょう。
そして、DGAがとれるならAMPTPも取れるはずです。
私の場合、Advisory Opinion レターの申請後、1週間後ぐらいにDGAからは取れて、2週間後にはAMPTPからもとれました。
全て書類が揃って、移民局に提出へ!
書類が揃い、いよいよ移民局に送付する!という前に、弁護士事務所さんから、書類はカラーコピーにするか白黒コピーにするかを聞かれました。
弁護士事務所オフィスでカラーコピーできず、オフィス系のお店でカラーコピーするため、別途料金がかかるとのことでした。
移民局的に、白黒でもカラーコピーでもどっちてもいいらしいのですが、
画像を載せているのでカラーコピーの方が圧倒的に見やすいですし、
見にくい、とか、そんなことで落とされたらたまらないですから、カラーコピーを選びました。
あと、弁護士さんにお支払いをした申請代行費とは別に、弁護士事務所を通して移民局に出願料$460をこの時に、支払いました。
そして2023年7月末に弁護士事務所から移民局のNYオフィスに送付。
翌日、移民局のNYオフィスが私の書類を受け取った、という知らせを弁護士事務所さんから受けました。
結果を早く出したいなら、審査を早めてくれる有料サービスがある!
通常、移民局に書類を提出して結果がわかるのが、2週間から6週間と言われています。ただ、提出をした州やその時のタイミングもあり、6週間以上かかるケースもあるようです。
ちなみに私は、7月末に提出をして9月頭に結果が来たので、結果がでるまでに1ヶ月ちょっとかかりました。この間、私はかなり不安になっていました。なぜかというと私と同時期に出した方が、2週間で結果が届いていたからです。(弁護士事務所のインスタで把握)
”なぜ、私の審査は時間がかかっているのか?書類に不備があった?”というような、不安にかられる毎日を過ごしておりました。
(結果としてはビザ審査通ったので、これは思い違いだったようです)
この、もやっとした不安にかられる日々を過ごしたくない方には、移民局によるPremium Processing Service (特急審査サービス)というものがあります。一部のビザ申請の審査を迅速化するサービスです。
このサービスを受ければ、移民局から2週間以内に申請結果を受けることが可能となります。ただし有料です。そのお値段、$2500!!
仕事の関係で早く取りたいのであれば、利用する意味はあると思いますが
早めに準備をして待てるのであれば、このサービスを使わなくても、いいのかな、、と個人的には思っています。ちなみに私は、急いで取得をする必要もなかったので、このサービスは使っていません。
アーティストビザの申請許諾がおりた!
そして前述しましたが、9月頭に、弁護士事務所さんから
アーティストビザの申請の承認がおりた連絡がきました。
あの時の、肩の荷がどっと降りた感覚はいまだに忘れられません。
しかし実はまだ終わってはいない
アーティストビザの申請が承認されると、Form I-797という書類が、弁護士事務所とエージェントのもとに送られてきます。
これは、米国移民局が発行する書類で、米国移民局が申請者のステータス変更や延長を承認したことを示す書類となります。
承認されたので、今度は日本の米国大使館・領事館にて面接をし、ビザスタンプを入手しなければなりません。
面接を突破して、はじめて、完全にビザを取得したことになるんですね。
ちなみに私の場合は、ラッキーなことに面接が免除をされ、そのかわり郵送申請をしました。日本の米国大使館に直接、面接をうけるのに必要な書類とパスポートを送付して、ビザスタンプをもらう流れです。
ビザ面接免除には条件があります。例えば、以前に、一部ビザ以外のビザのために日本の米国大使館・領事館の面接を受け、ビザを発給されたことある、などです。こちらに該当するかは、ご自身で確認をされてください。
ビザスタンプの郵送申請
ビザスタンプのため、日本に帰国し、そこから郵送申請をしました。
ビザ面接を回避できたのは本当に良かったと思いました。なぜなら
移民局からの承認があっても、ビザ面接で落とされることは全然ありうるからです。ビザ面接で落とされた場合は、面接を再度うけるために、弁護士さんを巻き込んで書類作業のやり直しなどの作業が発生します。
またビザ面接で、面接のための書類が足りていなくて書類再提出、ビザスタンプ保留などのケースもあるようです。
ビザ面接を受けたことがある方はご存知かと思いますが、面接が受かるかは大使館または領事館の担当者次第ということがあり、厳しい人にあたれば、移民局からビザの承認をされていても、面接でしどろもどろになったり、書類が足りてなかったりすると、保留もしくは否認になったりすることがあります。
そんなこともあるので、ビザ面接が免除されてよかった!と思いましたが、
郵送申請でも、書類不備でビザスタンプは保留、書類再提出という自体もありえるとのことでした。
そのため私の場合、郵送申請の際に送る書類は、弁護士事務所さんからきちんと指示がありました。私の場合は、パスポート、郵送申請に必要な書類とは別に、移民局に送った書類と全く同じものを同封。
ちなみに郵送方法は大使館もしくは領事館のほうから適切な指示がありまして、それはアメリカ大使館のHPに詳しくかかれています。
申請を送付してから1週間後に、大使館からメールにて連絡があり、ビザスタンプがパスポートに貼られた、とのことで、
12月、アーティストビザ取得を完了しました。
あのときの開放感は忘れられませんね。
ちなみに郵送申請の場合、ビザスタンプが貼られたパスポートは自ら取りに行くのか、郵送してもらえるのか選べます。私は、取りに行くきました。
以上、アメリカで映像ディレクターとしてアーティストビザとった話は終わります。
お金と時間がかかりました。よくがんばった、自分、と思っています。
何が言いたいのかというと、無名のディレクターでもアーティストビザはとれます。
締めの言葉が思いつかないので、このへんで終わりにします。