素晴らしき法の番人 裁判傍聴【窃盗その5】【窃盗その6】
今回は、素晴らしき検察官と裁判官とに重点に置きnoteに記録したいと思う。
【窃盗その5】(ろ)第173号
被告は前科2犯。
2犯とも窃盗で捕まる。
そして現在は執行猶予の身である。
3年前から仕事を辞め、2年前に離婚をしている。
仕事を求め20社以上も面接したが、採用されることなく、生活に困り生活保護を受けている。
しかしながら酒と女がやめられず豪遊し、家賃2ヶ月滞納している。
今回の窃盗事件の内容。
被告は天満屋ハピーマートで、発泡酒2本とサキイカを窃盗し、店員に捕まりそうになり逃走した。
逃走に成功したかに見えたが、防犯カメラによって面がわれ呆気なく捕まる。
被告の自宅の枕元に、何本もの発泡酒の瓶が転がっていた。
どれが窃盗された物か判断が出来ず、開封された発泡酒2本とサキイカを窃盗品とし、撮影(証拠写真)し提出された。
この日は自分の誕生日で、盗んだ物で1人祝いをしていたそうだ。
なんとも切ない話である
被告の前回の裁判でも、お世話になった検察官と裁判官が今回も受持つ。
被告は『もう2度としません』と、背中を丸めて答える。
検察官、語気強く
『あなた前回にも同じことを裁判官に約束していますが、その場しのぎですか?
反省していませんよね』
被告
『いや、本当に』
話の途中で
検察官
『結構です!』とバッサリ切った。
この検察官は、年は30代前後。
どの検察官よりもキレッキレで、被告人たちの本性を引き出すのが実に上手い。
しかも、天は二物を与えまくって容姿端麗ときたもんだ。
まるでドラマに出て来そうな、そんな検察官なのである。
最後に裁判官から被告への質問と
訓戒(くんかい)が述べられる。
ちなみに訓戒とは、裁判官が判決を下した後、被告に悟す言葉である。
この裁判官の年は50代後半、傍聴仲間の間では、温情派としてファンも多い。
裁判官は、懲役2年を言い渡し訓戒を述べる。
『走って逃げている姿が防犯カメラに、しっかりと映っていますが、逃げられると思ったのですか?』
被告
『……』
裁判官
『あなたは、ことわざの【天網恢恢疎(てんもうかいかいそ)にして漏らさず】という言葉を知っていますか?
天罰からは逃れないと言うことです。
しっかりと罪を償って下さい』
と締め括った。
渋い!
教養が滲み出てるぜ
次に紹介する裁判も、このキレッキレの検察官と、温情派の裁判官である。
【窃盗その6】(ろ)第239号
被告はドンキホーテで、ビスチェ1枚、パンティー2枚を盗んで捕まる。
前科3犯、全て下着の窃盗だ。
現在、執行猶予の身である。
離婚歴1回。
元自衛隊で、仕事は○○荘で障害者支援をしている。
パチンコの浪費癖があり、金が無くなると従業員の財布を盗むことを繰り返していた。
しかし今回は、あくまでも下着の窃盗として裁かれる。
被告は、子供の頃から女装癖があり、自分に身に付け楽しむ為に窃盗をしていた。
検察官
『女装して、何してたの?』
被告
『カツラを被ってました』
いや、そうじゃ無くて
極度の緊張からか、的外れな答えを繰り返す。
やっと分かったことは、家の中で女性の下着をつけては鏡を見て楽しみ、夜中に人気の無い時間帯を狙い、高揚しながら夜道を歩いていたという。
随分と楽しそうだね
検察官の質問が終り、さ~て最後は温情派の裁判官のお出ましだ!
が!
ここで裁判官は、分からない事は真面目ゆえに無視できないのか、全てを把握するため、検察官に向かって質問する。
裁判官、神妙な面持ちで
『ビスチェとは、何ですか?』
検察官、大真面目に
『そうですねぇ……ブラジャーみたいな物です』
裁判官
『ブラジャー……みたいな???』
つかさず検察官は、膨大な資料をMAXでめくり、裁判官に証拠物件の写真を見せる。
そしてここから、ビスチェマン放置プレイが始まる
裁判官
『……ん~……どれですか?どの色?』
検察官は、写真を指をさし
『この紫のです』
裁判官
『この光ってるのですか?
ん~……これは、どのように身に付ける物なんですか?』
検察官、ま~だ食い付くのかと思いながらも(←そう思ったはず)
『あ……あの……こ~んな感じで』
と、ジェスチャーでビスチェの付けた感じを披露する
あの容姿端麗の検察官が、困りながらも裁判官の為に、必死でジェスチャーをしている!
なんてことだ!!
…………もっと見たい
さすがに傍聴席から、クスクスと笑いが聞こえだす。
裁判官
『……はぁ……これは後ろで止めるんですね』
検察官
『いえ、前です!』
どっちでも、ええわ!!
傍聴席は、笑いを堪える者が続出する。
けして声に出して笑ってはならぬ、ここは静粛な法廷の場であるぞ。
裁判官も傍聴席の笑いに気が付き、さすがに恥ずかしくなったか、ザツな説教をビスチェマンに述べ即座に退出した。
裁判官の退出後。
検察官と目が合い、ため息混じりの苦笑い。
どっと疲れた様子に、笑いを堪えながら『お疲れ様』と労いの言葉をかけた。
そして記録ノートに、ビスチェは紫のラメ入りと記入した。
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