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裁判傍聴:傷害その3 嫁姑問題②
※暴力的な描写があります。
苦手な方は、ご注意ください。
傷害(わ)第565号
被告は嫁。
被害者は姑。
身なりを気にしないのか、なんともザツな出立ちで、髪もボサボサで寝グセつきで登場。
被告である嫁は自分の子を連れ再婚し、家賃を浮かせるため旦那の実家で同居を始める。
嫁は仕事をしていないが、掃除、炊事、子育などを一切放棄し、常日頃から2階に引きこもっていた。
見兼ねた姑が家事をこなし、連れ子の世話もしていた。
そして金の援助もしていた。
事件の日。
姑の口座から、嫁の携帯電話の使用料も落ちていたのだが、毎月10万以上の請求が何度か続いた。
この月の請求も10万を越えていたので、さすがに注意しようと嫁の居る2階に上がった。
姑から注意された嫁は、烈火の如く怒りだし、姑を引きずって2階の階段から1階に突き落とそうとした。
姑は落とされまいと、必死に階段の手すりを握り締めた。
その握り締めている姑の指を一本一本……また一本と引き剥がしていく……。
こえーよ!
そしてとうとう姑は、1階に転落してしまう。
転落した痛みで動けなくなり、うずくまる姑に対し、嫁は容赦なく顔面と腹部を拳と蹴りで何度も強打する。
それでも気がおさまらない嫁は、台所に行き刃渡り16㎝の包丁を持ち出し、姑の腹部と脇腹を刺した。
更に馬乗りになり姑の顔面を刺した。
その時に大量の血が吹き出し、やっとそこで我に返たという。
逆ギレにも程がある!!
そして冷静になった嫁は、救急車では無く警察に通報する。
姑は重傷を負ったものの一命は取りとめた。
しかし予後が非常に悪く、長期入院を余儀なくしている。
驚くことに、被告である嫁の身元引受け人は被害者の息子である。
離婚しないことにも驚きだが、証言台で母親を非難し、実家を出て嫁と連れ子と一緒に暮らすと述べた。
姑は息子夫婦や連れ子のため住む所を提供し、全ての家事もこなし、金の援助もしていたことは事実である。
家庭の事情は深く知り得ないが、
息子は入院してる重傷の母では無く、極めて凶暴な嫁を選んだのだ。
他人事ではあるが、なんとも姑が不憫に思えてならない。
そして判決。
懲役2年、執行猶予4年
この日に、シャバに出れる。
前回、取り上げた嫁姑事件では、姑に重傷を負わせ殺人未遂で裁判員裁判にかけられ、懲役2年ほどいいわたされた。
今回の事件も、ほぼ同じ内容であるのだが、傷害の罪で執行猶予となった。
この大きな違いは、被告自身が警察に電話し、自首あつかいになったからである。
なんとまぁ、電話1本でここまで違いが出るのだ。
誰もが納得するような刑罰は無いものかと思うのだが、身内同士の事件であり、また被告が女性の場合
法律は、えらく緩くなるのである。