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裁判傍聴:器物破損 その1

器物破損(わ)第652号
被告は前科2犯。
どちらも他人の山林に放火したことで捕まる。

今回の事件の内容。
刑務所を出所し、塗装工の仕事に就く。
事件の前の日。
仕事のことで上司に『なんでこんなことが出来ないの』とキツく言われストレスが溜まる。
1日経過してもストレスは消えず、解消するため今回も山に火をつけることにした。
しかし、これは失敗に終わる。
そこで思い止まること無く、倉敷連島公園で、ブルーシートの上にティシュペーパーをひき、チャカマンで火を付けた。
想像以上に燃えた為、これは逃げ切れないと思い自首をした。
被告は出所から半年たらずで、この事件を引き起こしている。

焼けたブルーシートは、被告に代わり、父親が1万程度を弁償した。


本来なら放火として、裁判員裁判にかけられるところだが、発覚前に自首していることから、器物破損に引き下げされた裁判となる。

検察官
『あなたは、火をつける事でストレスが解消されるんですか?』

被告
『火をつけた瞬間、スッキリするんです』

検察官
『火をつけた後、どうするんですか?』

被告
『1度逃げて、現場に戻り見学します』

思考は間違いなく、どっぷり放火魔である

検察官
『今度また出所しても、その行為は直りませんよね?』

被告
『今回は反省して、病院に行ったりカウンセリングを受けます』

検察官
『今回は、と言うのは、前回は反省していないと言うことですか?』

被告
『いやぁ…………(沈黙)』

次に裁判官からの質問。

裁判官
『山に火をつけてますよね。
あなたは、どうなって欲しかったのですか?』

被告
『燃えればいいなぁ……て』

裁判官
『じゃあ、あなたは自分の思う燃えかたまで、やりたかったんですか?』

被告
『はい』

裁判官
『あなたが、つけた火で、人が怪我をするとは考えないのですか?』

被告
『はい…………あっ!自分が死なないように、場所は選らんでました!』


ゴルァァァーーー!!!!
お前の心配じゃねーし!!


思う存分、シバき倒したい。
悲しいことに、全力で自分本意の被告は、今現在は普通にシャバで暮らしている。
何故なら、器物破損の裁判であるため、刑は驚くほど軽いのである。


ここで恐ろしい現実をお知らせしておく。
放火魔は精神障害であり、衝動制御障害の一種とされている。
治療としては、カウンセリングや投薬が行われるが、この統計を見て頂きたい。

2019年の総務課消防庁による、全国の出火原因別の統計

1位、放火(3,586件)
2位、煙草(3,483件)
3位、コンロ(3,136件)

この1位の放火は、実に20年間継続されている。
果たして放火魔の治療は、今のままで有効なのか?
この統計を見る限り疑問でしかない。

市民の命を守る為にも法律はあるはず、枕を高くして眠る為にも、放火魔は1日でも長く塀の中に居て欲しいものだ。

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