なぜ鏡を見ると左右が逆に見えるのか? 第547幕
みなさんは、”鏡を見た時に左右が逆転して見える”ことに疑問に思ったことはないだろうか?
本日は、そんな疑問を解決してくれる、るーいのゆっくり科学さんの動画『[ゆっくり解説] なぜ鏡は左右だけを逆に映すのか?』をみなさんにご紹介したいと思います。
では、動画をご覧ください。
1.逆に映っているのは「左右」ではなく「前後」
なんで鏡を正面から見た時は、上下じゃなく左右だけが反転するの?
正面からなんだから、どっちに反転してもおかしくないような気がするんだけど。
なるほど、正面から見たときに左右だけが反転する理由か?
実は、鏡を見た時に左右が逆に映って見えるのは、ただの勘違いに過ぎないんだ。
そう、鏡に映っている自分は、実際には上下も左右も逆に映ってはいない。
本当に逆に映っているのは「前後」なんだ。
左手を挙げて鏡の正面に立っている状態を想像してみよう。
ノアールはこの鏡像のことを、左右が入れ替わった状態だと言ったな?
だが、よく考えて欲しい。
別にこの場面では、左右が変化しているわけではない。
本人も鏡に映る像も、どちらも左側の手を挙げていることに変わりはないからな。
そう言われるとそうね。
またこの鏡の像が唯一変化している部分は、自分が向いている方向だ。
自分は鏡の方向を向いているのに、鏡の中の自分は逆にこっちを見ている。
つまり鏡の中の像は左右ではなく、前後が逆になっているんだ。
確かに向いている方向は明らかに違うわね。
ってことは、実際には左右は逆になってなくて、本当は逆なのは前後ってこと?
そういうことだ。
でも、どうして前後が入れ替わるのに、私たちは左右が入れ替わってると感じるのかしら?
それは、私たちが無意識のうちに、前後を合わせようとしてしまうためだ。
そう、本来であれば、この鏡像は実物とは前後だけが逆の状態だ。
しかし、前後の向きが自分とは違うため、私たちは自分がこの鏡像と同じ前後の向きだった場合を考えてしまう。
つまり、後ろを向いた時の自分を想像してしまうわけだな。
そうね。
同じ向きを向いている状態を考えた方がわかりやすいものね。
前後の方向を合わせようと、後ろを振り返った自分を想像した結果、想像した自分の左右の方向が入れ替わってしまう。
そして、私たちは鏡に映った鏡像を、前後を合わせたこの自分と比べるんだ。
その結果、鏡の中の自分を実物とは左右逆だと認識してしまうわけだ。
2.なぜ上下が逆に見えないのか?
今の説明では、「前後を無理やり合わせようとするから、左右が合わなくなる」って言ったじゃない?
そうだな。
でも、前後の方向から見れば、左右も上下も同じようなものじゃないのかしら?
だから左右と同じように、上下が逆になっているように見えてもいいと思うのよね。
でも、何度鏡を見ても、映っている自分は左右逆には見えても、上下逆には見えないわ。
どうして上下じゃなくて、左右が逆になっているようにしか見えないのかしら?
なるほどいい疑問だな。
確かに入れ替わった前後を無理やり合わせようとした結果、左右だけが逆になるってのはおかしいような気がするよな。
だが、その理由は意外と簡単だぜ。
ああ、それは私たちが上下を逆にした姿を全く想像できないからなんだ。
左手を挙げて鏡を見ている場面を考えてほしい。
この時、私たちは映った鏡像に自分の前後を合わせようとすると言ったな。
そして、前後を合わせようとするためには、体を後ろへ回転させる必要がある。
つまり、後ろを向いた自分を考えるってことだ。
じゃあここで、ノワールにお願いだが、実際に自分がどんなふうに後ろを向くのか考えてほしい。
後ろを向くって、普通にくるっと回って振り向けばいいんじゃないの?
まあ普通はそうだな。
そして、そうやって後ろを向いた自分とさっきまで鏡に映っていた自分を見比べる。
そうすると、左右が逆になっているわけだな。
だから、どうしてこの時に上下ではなく、左右が入れ替わっているのかが分からないのよね。
じゃあノアールに1つ質問だが、さっき「後ろを向いた自分を想像してくれ」と言った時、なぜ左右方向に回転した自分を想像したんだ?
えっ、そりゃ後ろを向けって言われたから後ろを振り向いた自分を想像しただけよ。何かおかしかったかしら?
いや、おかしくはないんだが、実はここが重要な部分なんだ。
私たちは後ろを見る、振り返るといった行動をする時は、当然水平方向に180度回転して後ろを見ようとする。
しかし、後ろを向くための方法はもう1つあるんだ。
ああ、例えば逆立ちして後ろを向いてみる場合を考えてみよう。
え、逆立ち?
そうだ。そうすると、右手と左手の方向は鏡に映った像と全く同じで何も変わらない。
しかし、上下に回転しているのだから、当然上下の方向は変化する。
こんなふうに、逆立ちすることで、前後を合わせようとする人にとっては、鏡像は上下だけが逆になった像だと考えることもできる。
つまり、前後を合わせるために、左右を回転させて振り返る想像をすれば、左右が入れ替わったように見えるし、上下を回転させて振り返る想像をすれば、上下が入れ替わったように見えるってわけだ。
私たちは前後を入れ替える行為を、当然左右に回転して後ろを振り向く行為だと勝手に思い込んでいる。
だが、前後を入れ替えて後ろを向くためであれば、後ろに向かって逆立ちをして上下に回転してもいいはずだ。
しかし、私たちはそんな状況があり得ないと知ってるし、そうやって振り返ることをそもそも考えられない。
こうやって、鏡像と自分の前後を合わせる時は、体を左右に回転させることを想像してしまうため、鏡像が左右逆の像に見えてしまうわけだ。
へ〜。そうだったんだ。
なんとなく分かったような気がするわ。
確かに前後を合わせろって言われたら、逆立ちなんて普通思わないものね。
そうだな。
自分から上下を固定し、左右を回転させることを選んでいるのだから、当然左右方向は変化するし、上下の方向は変わらない。
これが一番の理由ってわけだ。
3.どうしてそんな思い込みをしてしまうのか?
「鏡が正面のものを左右逆に映すのは、私たちの勘違い」ってことは、すでに分かっているんだが、肝心の「どうして私たちはそんな思い込みをしてしまうのか?」の方が、未だに心理学的な分野では分かっていないってことだな。
心理学?
ああ、例えば鏡の中の自分を見た時に、鏡に映る像は元々前後だけが逆なんだから、別にそのまま「前後が入れ替わったもの」として認識してもいいはずだし、上下に回転させて「上下が入れ替わったもの」と認識しても理論上はおかしくない。
でも、私たちはこの像をわざわざ左右に回転させ、左右が逆になる状態で把握してしまう。
このそもそもの心理学的要因が分かっていないんだ。
へ〜。そうなんだ。
それに、逆立ちして鏡を見ても、自分の上下が反転しているなんて思わないし、どんなに理屈で説明しても、多くの人には左右反転したように見え続けるだろう。
要するに、物理学的な分野では分かっているが、心理学的な分野ではまだよく分からないって感じなわけだ。
その原因っていうのはまだ全然分かってないの?
まあそうなんだが、いくつかよく聞く理由としては、「左右が最も相対的に決まる方向だから」とか、「人間の体が左右対称だから」とかがあるな。
そう言われても、いまいち分からないわね。
例えば、鏡像は本物と全ての向きを合わせようとしても、前後、左右、上下のどれか1つは、逆になるようになっている。
つまり鏡に映る像を、どれか1つの方向は逆になる形で把握しなければいけないわけだ。
そうね。それで、その逆になる方向ってのが、なぜか左右逆になっちゃうのよね。
そうだ。ここで、それぞれの方向を私たちが一体どう捉えているかを考えてみよう。
私たちにとって、上下の方向は基本的に変わらない。
見上げれば上には空があるし、下には地面がある。
そして私たちの体を見ても、頭が上で足が下だ。
こんなふうに、上下っていうのは、私たちにとってかなり絶対的な方向だ。
まあ、そうね。
普段から逆立ちして暮らしている人でもなければ、上下の方向なんてそうそう変わらないものね。
そして、前後も、同じように体や顔が向いている方向が「前」、その逆が「後ろ」だとすぐわかる。
前後も絶対的ってことね。
だが、左右だけは違う。
左右は上下と前後に続いて、相対的に決まるものなんだ。
相対的?
左右を考える時は、「自分が向いている方向から考えて、こっちが右側、こっちが左側と判断するだろう。
しかし、逆に「こっちが右でこっちが左だから、その間のこっちが前だな」とか思うことはまずないはずだ。
確かにそうね。
左右は自分の向いた方向を基準に決めている感じがするわ。
つまり、順番的には上下が元々決まっており、自分の向きによって前後が決まり、その上下と前後を元に左右が決まる。
この左右が最も最終的に決まるものという考え方も、何か関係しているのかもしれないと言われている。
なるほど。
「先に自分と鏡像の上下と前後を、同じ方向で重ねてしまうから、最後に決まる左右が逆にならざるを得ない」って感じなのかしら。
まあ、そんな感じだな。
また、単純に体の方向を1つ入れ替える場合、左右を入れ替えるのが最も違和感が小さくて済む。
違和感?
そうだ。
人間の体の部分を比べてみると、上下は頭と足で全く違うし、前後も顔や体で全然形が違う。
そのため、上下や前後が入れ替わった鏡像を、そのまま理解しようとすると大きな違和感が生まれてしまうんだ。
しかし、人間は左右対称な構造をしているため、左右を入れ替えても大きな違和感は発生しない。
つまり、「最も入れ替わっても違和感が少ない左右を放置し、そのほかの前後、上下の方向を頭の中で合わせにいった結果、最後に残った左右だけを逆に感じてしまう」ということかもしれないぜ。
鏡像は必ずどこかの方向を逆に捉えないといけなくて、結果的に左右が入れ替わった像が、一番理解しやすい形だったってことね。
そういうことだ。
まだ詳しく分かっていないってのも、なんだか不思議な感じがするわね。
まあ、人間の心理が関係すると難しい話になるからな。
それもそうね。
4.まとめ
まず前提として、鏡を使うと反転した鏡像が出来上がる。
この鏡像は、本物と重ねようとどう方向を合わせても、上下、左右、前後のどれかが逆になる仕組みになっている。
私たちが正面から鏡を眺めた場合、まずは自分の前後だけが逆になった鏡像が映るが、私たちは無意識のうちに、自分の前後を鏡像に合わせた状態を想像しようとする。
ただ、そうするためには上下か左右のどちらかの方向へ体を回転させて振り返る必要があるが、私たちは上下に回転した自分をなかなか想像できないし、違いが目立たない左右に回転した自分の方が、違和感なく受け入れることができる。
その結果、私たちは前後が逆になっているだけの鏡像を、左右が逆になったものだと認識してしまうわけだ。
いやあ、面白かったですね。
いつも抱えていた疑問が解決するって、カ・イ・カ・ン!(by セイラー服と機関銃。薬師丸ひろ子)🤣
いつもご覧いただきまして 有難う御座います。
スキ フォロー コメント等を頂きまして 有難う御座います。
では また次のnoteで お会いしましょう。
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