#02【体験記】目が見えない世界をみる
先日、ダイアログ・イン・ザ・ダークという暗闇のエンターテイメント体験をしてきました。
生まれて初めて体験する視覚情報の無い世界。
何も見えないことへの恐怖心と
初めて"みる"世界への好奇心が入り混じる貴重な時間となりました。
1|ダイアログ・イン・ザ・ダークとは
ダイアログ・イン・ザ・ダークとは、
暗闇の中では、ガイドさんと同グループ(最大8名)の皆さんと一緒に、公園やカフェに行ったり、電車に乗ったり...と日常生活の一コマを体験していきます。
※あくまで施設内での体験なので、実際に外に出ることはありません。
ちなみに、私が参加した時は計7名の参加者で、
小学生のお子さん2人とそのご両親、おばあちゃんの5人家族とご一緒させていただきました!
2|目が見えない体験をして学んだこと
◆"未知の世界"は楽しめる!
日常生活では、まっすぐ歩くことや電車に乗ること、ちょっとした段差を避けることは決して難しくない。だけど、一点の光もない中では、たった一歩踏み出すことがとても怖いのです。
頼りになるのは白杖とガイドさんや同グループの方々の「コッチだよー!」の声。日常生活をいかに視覚情報に頼って生活していたかを実感します。
この先に何か危ないものがあるかも...(怖)
自分だけ置いていかれるかもしれない...(焦)
こっちの方向で本当に合っているのかな...(不安)
不安な気持ちで大人達は必死に声を掛け合い、一生懸命に手で周りに何があるか探り、慎重に進んでいきます。
一方で、子供達はすぐに暗闇に慣れて、
時にガイドさんと一緒に歌を歌いながらどんどん前に進み、ビクビクする大人達を目的地まで導いてくれます。
なんて頼もしい...!!
あれこれ考えず、この先には何があるのかな?と未知の世界を楽しむ気持ちが大事なんだと目の前で体現してくれました。
◆見えないことで人に真剣に向き合える
今回の参加者は、下は小学校1年生〜上は70代後半と幅広い年齢。
日常生活ではどうしても見た目の印象、年齢、性別etcの属性情報を基に無意識のバイアスをかけてしまうこともあります。
だけど、暗闇の中では表情はもちろん、シルエットすら見えない。
すぐ隣にいても声を出したり触らない限り全くわからないほどに何も見えないのです。その代わり、一人ひとりの声の特徴、声色、語るストーリーの内容を自分の解釈を挟まずに素直に受け取り、一生懸命に耳を傾けている自分がいました。また、コミュニケーションが双方向になるように、聴いていることを相手に届けようと心がける自分がいることにも気づきました。
もうひとつ、個人的にとても印象に残っていることがあります。
それは、視覚障害をもつガイドさんが開始時点で参加者一人ひとりの不安な気持ちを察知していたこと。その段階ではまだ自己紹介程度しか発言していない中で、小さな女の子が特に不安そうにしていることを感じ取り、
「○○ちゃん、今とてもこわいよね?お姉さんは暗闇が怖くないから、手をつないで一緒に行こう!」と声かけをしていました。
わたしはありがたいことに日常生活で人の表情、色の違いなど目が見える生活を送っていますが、見えるのに、みていない・気づいていないことがたくさんあるのではないかと考えさせられる瞬間でした。
3|さいごに
初めて体験する暗闇世界はとても怖かったですが、これは安全に体験できる諸条件が整った中でのこと。
具体的には、
・ガイドさんの丁寧な案内
・一定の安全が確保された施設の中
・初めての暗闇という共通体験の中、必ず助け合える参加者。
これらがすべて整った中でどうにか前に進めました。
でも実際、街中で全盲の方に「コッチだよー!」なんて誰かが誘導する姿を見たことがないし、
予期せぬ段差などの障害もたくさんある。
電車や車の音、人の声など、街中は雑音で溢れている。
さて、同じ環境でわたしは1人で一歩踏み出せるのでしょうか。
今回は自分にとっての「非日常体験」としてたくさんの学びがありました。
でも、見えない世界が「日常」である人たちもいること、そしてその方々がみている世界の良い点・不便な点は今回の体験だけでは決して理解できていないはずです。自分と異なる立場の方からみえる世界を、同じ目線に立ってみる努力をすることを大切にしたいと感じました。
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