たまに来る、縫い物熱
昨年末のNHKの「プロジェクトX挑戦者たち 4Kリストア版」という番組で、2005年放送の「ブランドミシン誕生 流転の技術者立つ」という回をみた。
最初の放送が18年前、その内容は、さらに遡って昭和46年、今もミシンの国内有力ブランドのひとつであるJUKIが、自動糸切りのできる工業用ミシンを開発した話である。
昭和46年…まだ生まれてないわー と言いたいが、生まれとるな。しっかり物心ついておる。
革命的ミシンの開発秘話に「すごいな」しか感想がない。ボキャブラリー瀕死。
当時の技術者って、「全部自分の頭で解決している」感じ。
過去の経験値(記憶と五感)、ビッシリ手書きされたノート。
それが普通だった時代とはいえ、デジタルのデの字も見あたらない、人間の底力でミシンという精密機械を作ってきた人たちがいるのだな。
そしてわがミシンのカバーを開けてみる。
白いボディが黄ばんでいる。日焼けでもなく、放置しているだけで劣化変色していて悲しい。
ブラザーFX-700 初めて機種名を確認したかも。
自分で買ったものではなく、20年以上たつけどたまにしか使わず、愛着は薄かった。ごめん、ミシン。
しかし、だ。
「たまにしか使わない」すなわち「たまには使う」のである。
前回は去年の夏、100円ショップの北欧ふうプリント生地でショルダーバッグを作った。
その前は、コロナ禍初期の手作りマスク。3年前になる。
つまり1、2年に一度、突然縫い物するぜ!となる。やり始めるとしばらく沼化する。マスクなんかいくつもガーゼ生地で縫ったけど、その後、感染防止には不織布が効果的と言われ、またミシンは放置。
さて今回の縫い物熱。
去年からずっとスカートが欲しかったのだが、お店やECサイトで気に入るものがなかった。
正確に言うと、いいなと思うものは値段が高い。とか、形と素材は好きだけど、色が派手すぎ。とか。
そこで、簡単なギャザースカートなら自分で好みのものを作れば済む話では?と思ったところからミシンの出番。
選んで注文した生地が届き、すぐ2着完成。
古いミシンはまだ元気で、ロングスカートの直線をこの機械の最高速度で一気に完走。
次は春用にと薄い生地を注文、同色の糸も準備した。そこで気づいた。ボビンが足りない。下糸を巻くための必需品だ。
調べてみるとボビンにもサイズが複数あるが、手持ちのものがネット上に出てこない。
適合機種一覧表には、そもそもブラザーミシンにFXで始まる品番がない。そりゃそうか。製造も部品供給も終了してるわけだ。
唯一、直径と高さが同サイズでヒットした他社製のボビンがあったので、メールで問い合わせたら、適合しないと返信が来た。
ちーん。ボビン補充の道は閉ざされた。
本体は動くけど部品が補充できない問題は、ミシンに限らない。日常的に使う家電であれば、買い替え時かも。
買い替えを考えるなら、JUKIの最新コンピュータミシンに心が動くけど、なんだか踏み切れない。
・・たまにくる微熱のような浅くゆるい趣味だから、時代遅れのミシンとのんびりやっていくのが似合っているかもね。
ボビンはどうにか手持ちでやりくりしていこう。
それで楽しめるうちは、その感じで。
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