演劇は終わらない
こんにちは、QoiQoiの吉次匠生です。
今日は普段活動してて感じる演劇の力みたいなものを書けたらと思います。
ではいきましょう!
露呈した演劇の弱さ
今年に入りコロナ禍で三密回避や自粛が叫ばれ、演劇を含めパフォーミングアーツは軒並み公演自粛による中止に追い込まれました。
僕らが制作していた作品も今年の8月に公演を予定していました。
しかし、緊急事態宣言により稽古日数の確保ができないことや、自分達を含め出演者やお客様の安全などを考えると、作品の質の担保が難しく、公演延期の判断をぜざるを得ない状況でした。
また、緊急事態宣言が解除された後も、演劇公演等は座席を間引いて公演するなどのガイドラインが引かれました。
もちろんコロナウイルスの感染拡大は確実に歴史的な事象であり、人命が1番優先されるべきです。医療現場をひっ迫させない為にも、最低限の経済を回しつつ、派手な生活はせず慎ましく生活することは今必要なことだと思います。
しかし、チケット代が主な収益で運営されている演劇という業態において、仮に客席を半分にするとして、その損失は計り知れません。
公演をしないと活動の場や収入源がなく、しても客席を減らしての公演なので赤字になります。
どっちの道を選んでも地獄で、今まさに演劇人にとってかなり活動が厳しい局面に入っていることは確かです。
確かに僕らは何個か前の記事で、こんな時代だからこそしっかり勉強し国の制度や補助金などを利用して、活路を見出すことについて記事を書きました。
しかし、いつ終わるかわからないコロナの時代において、そういったものは一過性のものかもしれません。今後続くであろう心の負担を考えると活路という活路なのかも少し疑問が残ります。
信じることについて
ここまで、対面で行う演劇の弱さについて書いてきました。
そこで、確かに今は演劇人にとってかなり厳しい時代なので、ネガティブにならざるを得ませんが、すこしポジティブな話をしたいと思います。
僕が2019年の2月に旗揚げ公演した時感じたことを書きます。旗揚げ公演の本番当日、僕は主宰だったのでキャストのみんなより少し早く劇場入りする予定で、家を出ました。家の鍵をかける為に鍵を捻った時に、ふとあることを思いました。
「待てよ、、、当たり前のように今家を出てるけど、今日時間通りに本当にみんな来るのか?」
キャストのみんなとは稽古を重ね信頼関係はしっかりありました。しかし、しっかりとした契約書を交わしたわけでもなく、旗揚げ公演なのでしっかりとしたギャランティも払える確証もありませんでした。仕事としての条件で言えば普通のアルバイトの方が探せばしっかりしているところもあったと思います。当たり前のようにみんなを信じているけど、1週間近くみんなの時間を拘束してて大丈夫なのか? そんなメンバーは誰1人いないとわかっていても、冷静に考えるとばっくれられても仕方ない状況でした。
僕はその時に「自分はなんてか弱い糸にぶら下がっているのか?」と思いました。
僕にできることは、出演者スタッフみんなが来てくれることを祈るだけです。事故にあわないようにとか、急に発熱しないようにとか、他人の自己管理に頼るしかありませんでした。信じるしかありませんでした。その時に自分は気づいたのです。
「逆にこの【相手を信じることでしか達成できない芸術という条件】こそが演劇の尊いところなんだろうな」
これは共演者に限った話ではありません。お客さん目線で言うと演者が自分に肉体的な危害を加えないと信じないと観てられません。また、演者も観客も舞台上で起きてるやりとりのリアリティを感じなければ、芝居は面白くないでしょう。これも広い目で見ると舞台で起きていることを信じるという行為だと思います。
弱さは強さに
人は何かを信じる時、希望を持てるのではないでしょうか? 僕は希望は生きる上で最も必要なものの一つだと思います。裏を返せば人は何かを信じなければ生きていけない。その為に人は宗教や芸術というものを生み出したのかもしれないとも思うのです。演劇はその最たるものの一つだと思います。なぜなら、演劇というコミュニケーションは人対人で行います。人対モニターやディスプレイ、人対スピーカーといった芸術ではありません。非常にフィジカル的な要素が強いだけに、目の前に起きてる現象を信じるという要素が必要不可欠になるからです。
対人という要素がコロナで打撃を受け、弱点として可視化されたのも事実ですが、逆にその対人という要素が演劇の強さでもあると思うのです。
僕は活動が大変になり辛くなった反面、どこか楽観視している部分もあります。
なぜなら、人が希望を捨てない限り、信じることをやめない限り演劇は無くならないと思うからです。
冬になり第3波が来ている中で、来年の3月に延期した公演ができるのかが、いよいよわからない状況です。しかし、僕は演劇を信じ、仲間を信じ、頑張って稽古をしていきたいと思います。
3月の公演で皆様に会えることを信じながら楽しみにしています。良ければ応援の程よろしくお願いします!
ではまた。
QoiQoi 吉次匠生
QoiQoiプロフィール
2018年2月9日に大橋悠太と吉次匠生によって結成されたアートユニット。 当初はano(アノ)として活動していたが、2020年10月1日より団体名を改めQoiQoi(コイコイ)として新たな活動を始めている。
また、「想像力を創造する」を信念に演劇、映像、インスタレーションなどさざまな分野を飛び越え作品制作を行う。団体名のQoiQoiもquality of imaginationが由来である。 また、社会問題から個人の体験まで幅広い事象を可視化し、常に観客に「当事者性」を提示する作品作りが特徴である。
このnoteでは作品制作のことを中心に、被災地のことや原発のこと、その他考えたことなど、読んでくれている方へなるべく為になるような記事や僕らをより知っていただける記事を書いていくことを目指しています。
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