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絵で稼ぐ前に初心を書いておく

多分初投稿です。

イラストレーターになりたい。よくある夢だ。

そして外野から何かと理由つけて否定されて諦めるところまでがセット。
絵に限った話ではないけど。

ただ、実際に適当なIT系へ就職してから稼ぐことの大変さとか社会の世知辛さを知って、それでも忘れられなかったことをこの記事に書いておこうと思う。

イラストレーターになりたい。

10代の終わりに肉親に静かに漏らしたことがあった。
お前だけはまともに就職してほしい。
不思議とその時の表情は思い出せない。
低所得世帯の3姉弟で唯一の大学卒業を控えた身として、その言葉にはひどく納得がいった。

諦めるには、十分だった。貧乏はもうたくさんだと思ってただ普通の生活を目指すこととした。

夢を諦めたのはそれで2回目。
中学の頃に実家が兼業農家だったこともあり、自身は農家になりたいと相談して、金にならないと教えられた。

こうして振り返ると、生活の辛さを理由に諦め続けた20数年だったように思う。
逆に言えば、20年以上かけて「普通の生活」を目指していたし、社会人になってからも数年はそれが人生のスローガンだった。

そして「普通の生活」を手に入れた。

上京して年収は400万。
奨学金の支払に追われながらも外野から一切の援助なしに生活費を支払い、2年で貯金は100万を超えた。
持ち株や企業DCを含めれば金融資産はさらに・・・なんてことはどうでもいい。
とにかく、多分、普通になったんだと思う。

つらい仕事と、ゆるい生活を繰り返す。
金を理由に試せなかった趣味に手を出しては飽きる。
これを得るために20年をかけた。

こんなものか。
目指した普通とは、こんなにもつまらないものか。
20年耐えた貧困に、劣等感に、疲労に孤独に釣り合うわけがない。

金は不幸を減らせても幸福を増やすことはできない。
「普通の生活」を生まれた時から享受していれば教えられなくてもわかることだ。

人は幸福を得られるよう夢や目標を立て、友人や恋人を作り、社会と関わり次世代を育てる。

自分には過ぎた希望だとずっと思っていた。
貧困な生まれである以上孤独に頑張るものだと。

だがいざ不幸の種が取り除かれても、「普通の生活」に何の価値も見いだせなかった。
そこまで頑張らなくてもよかったんじゃないのか。
誰かに助けを乞えば、もっと楽で楽しい日々もあったのでは。

一方でやるべきことだけが時間とともに押し寄せてくる。
仕事、後続の教育、流行り病、結婚。

暗い過去ばかりを引きずった劣等感まみれの若造には到底耐えられなかった。

ある日、いつも通りの朝、新橋の客先へ出向こうとした時のことだった。
玄関から足が進まない。
夏の終わり、クールビズで大した格好もしていなかったが、革靴まで締めておきながら、駅まで歩く理由がもやがかかったように思い出せなくなった。

気づいたら夕方で、インターホンに出ると警察だった。
職場から無断欠勤を理由に通報があったそうだ。
後に上長2人が宅へ駆け付け、後日心療へ。
鬱。
簡単な診断結果と抗うつ剤に1万円を支払い、こんな時でも金の心配かと内心わらっていた。

被害者面するのにも金が要る。
「普通の生活」を目指して病んだのに、それで得た余裕に救われているという皮肉。

そこからは大企業のマニュアル通り。
休職、ヒアリング、部署異動。

復帰してからは頑張る理由を探した。
実家へ帰れば周囲のために頑張れるだろうか。
診断から翌年に前職のまま実家へUターンし、新しい部署で半年を過ごした。

学生の頃のように。
土日返上で弁当屋や畑を手伝いながら学費全額免除を勝ち取ったあの頃のように。
家族のために。

大人になって多くを知った。
仕事の辛さ、人間関係のやるせなさ、それらに負けて怠惰になっていく自分。
定職について普通に給料を得れば、子供の学費ぐらい稼げることは当の昔に気づいていた。
それを親がやらなかった理由。
尊敬は消え去ったが、世知辛さを知ってしまった以上責めることもできない。

やりたいことを捨て続けたのは自身の選択であり、言い訳なのは百も承知だが、親も祖父母も叔父も叔母も従妹も姉弟も自分でさえも、頑張る理由にはならなかった。

もう頑張れないと悟った。

その冬に発熱、陽性となり、後遺症の倦怠感と鬱再発の予兆から退職を決意。
失業保険をすすりながら半年以上ニートライフを満喫し、健康保険と住民税に貯金をほぼ削られたから適当にアルバイトを始めた。

4大卒、東証プライム上場企業3年以上勤務、元運用保守SEにして、時給1000円のフリーター爆誕。
化け物過ぎる。

もう生きる理由なんかないよ。
好きなこと?あるにはある、けども。

それがたまたま絵だったので絵で小銭稼ぎたいなー
↑いまここ。

今度は楽しく生きられたら、いいな。

なに描こっか。


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