無意味に長すぎる映画のエンドロール

 映画本編が終わると必ずキャスト・スタッフなどが表示それるエンドロールがある。これが2、30年前と比べても随分長くなっている。それより昔はちょっとあきれるほどシンプルで短かった。ウェブ配信の映画だと時間を確認することができる。先日、タイトルを失念したがエンドロールが10分以上というものがあり大変驚いた。
 通常、監督・音楽・原作などの主要スタッフやキャスト以外はほとんど読んでいないのは私だけでなく大部分の観客に言えることであろう。しかし全て終わって場内が明るくなってから席を立つというのがエチケットと思い、我慢してただ眺めているというのが実情であろう。
 中には、ジャッキー・チェンの撮影NG集ゃ「ハングオーバー」の本編余話的な傑作映像が流れて面白いものもあるが、それらも当然映像を見ているだけで文字は読んでいないわけである。
 映画製作が集団による協力体制で成り立っているということはよくわかるし、下積みのスタッフまで名前が表示されるというのが仕事への励みとなる、ということも理解はできる。しかし、そのことは全ての仕事についても言えることであり、いちいち下加工に携わった人間の名前など取り上げられはしない。映画のエンドロール方式で行けば、例えば書籍の巻末には、発行者や製本所だけでなく、用紙選定・書体選定・ページレイアウト・文字入力・校正・製版・刷版・印刷・裁断・折り加工・表紙帯デザイン・帯取付作業といった細々とした作業に携わった人の名前を表記することになる。
 ほとんど読まれない自己満足的な慣習はそろそろ何とかすべきであろう。この状態が続くのであれば、多少エチケット違反となってもエンドロール途中での退席も考えねばならない。ウェブ配信と違って、劇場ではエンドロールが3分で終わるのか10分も続くのかわからないのだから。ただし、悩ましいのは「マチェーテ」のように一番最後に面白い映像が流れるものが僅かながら存在することである。


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