一度捨てた場所に帰ろうとして
──── いる。
嘘。どうせ一度捨てた場所にはもう居場所はないから。
「リニューアルするから戻って来な」と誘われて戻ってきたものの、私はその場所で「やりたい」と思えることを見つけられなかった。
なんせ、居場所がないのだから帰っても意味がないだろう。
昔は好んでその場所に居た。むしろ、その当時の自分の居場所はそこがメインだった。私はその場所で"運営することの知識"を学んだだろう。
ネットの世界は、若者にとって救いの場であると思っている。顔を見せる場所ではないから、適切な環境を見つけられればメンバーに加わることができる、そこを居場所として、生きがいとして、リアル世界が苦しいものであったとしてもサバイブすることができる。
しかし、今の私にとっては、私がサバイブしなければならないのは「現実世界」だ。
私は現実世界に囚われてしまったのだ。
一度捨てた場所は息長く続いていた。比較的破綻することなく続いていた。
私にとってはその場所は必要"だった"場所だが、その場所にとって私の有無は関係ないのだ。だからこそ、簡単に首を切られたし、簡単に引退することができたのだ。
ありがとう、その場所。
その場所の名前を出してしまうと、私のネット垢が容易く見つかってしまうから、これ以上のことは言えない。詮索したければご自由に。
そして、さようなら、その場所。