「君の役割は理不尽のえじきになることではない」
肘（ひじ）が当たって
トレイのワイングラスが倒れる
白いドレスの彼女が黙り込む
そこらへんのキャストが疑われる
ざわざわ小声に紛れて
幸せを比べたがっている
無関係のふりして
強運を比べたがっている
眠りは浅くなる
終わりは押し寄せる
よろよろ足がもつれて
ダンスのコンプリートが遅れる
赤いドレスの彼女が黙り込む
そこらへんのキャリアが疑われる
騒ぎに紛れて
悲しみを比べたがっている
同じような顔して
苦しみを比べたがっている
夜霧は深くなる
明かりは逃げてゆく
自分の振る舞い方を
忘れなければ
一時的に演技をさせられても
自分を許せる
距離を取れる
君の役割は
嘘をつくことではない
君の役割は
理不尽のえじきになることではない
異質の空気に包まれて
落ち着く香りを奪われて
踏みとどまれるか
分離して映った影よ
悲しみを知っている人の涙が輝くとき
装飾にあふれた笑顔が消え失せる
ありふれた気分を彩ることはない
張りつめたメロディーが響かなくても
嘆かなくていい
新しく見えた空に
翼を広げた鳥が
飛んでゆくのを
見上げよう
新しく見えた空に
翼を広げた鳥が
飛んでゆくのを
見上げよう
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