“自分の土俵で戦う”とは何か〜RIZIN.46 メインカードを終えて〜(#69)
4月29日に東京の有明アリーナにてRIZIN46が開催されました。
本大会のメインはフェザー級タイトルマッチチャンピオン鈴木千裕vs挑戦者金原正徳です。
下馬評では挑戦者でもある金原選手の方が高い印象でしたが、結果はチャンピオン鈴木選手の1R レフェリーストップによるKO勝利、王座防衛でした。
攻防の決め手は圧力を掛けようと前に出る鈴木選手に仕掛けた金原選手のタックルを凌いだことです。
タックルへ行ってグラウンド(寝技等の攻防)に進めることは金原選手にとって鈴木選手より試合を優位に運べるはずでした。
しかしこのタックルを凌がれたことにより、プランを作り直すしかなくなり、次のプラン設定する間に鈴木選手が最も得意とするスタンド(殴る蹴るの攻防)に付き合わざるを得なくなり、結果その間に仕留められてしまうこととなります。
鈴木選手が少ないチャンスを確実にモノにしたことは言うまでもありませんが、その前のピンチを確実に凌いだからこそチャンスをモノにできたとさえ言ってもおかしくない展開でした。
この試合で感じたことは「自分の土俵で」進めるとは何か?ということです。
日常でも様々な場面で“自分の長所を活かす”ということは声高に叫ばれていますが、いざ自分の土俵で行おうにも相手の長所で潰されてしまえば話になりません。
逆に言えば相手の長所を潰してこそようやく自分の土俵、つまり自分がやりたいように進める確率が高まります。
闇雲に“自分”にばかり拘ると相手の長所に飲み込まれ、最終的に相手の土俵で相撲を取るような状態に陥るのではないでしょうか。
日常において人と折衝する場面があると思いますが、要は自分以外との意見や価値観の違いなどで同性、異性に関わらず、あるいはビジネスやプライベートに限定されず、自分に拘り過ぎると肝心の“自分自身が本当に欲しいもの”を失いかねません。
自分が求めるもの(=目的)、そして自分を活かす(=手段)ため、それを活かしやすい自分の土俵とするために、先立って相手の長所を飲み込む必要があります。
なぜなら様々な場面で“相手がいる”からです。
格闘技の場合、相手の長所を消すことになりますが、他の人間関係に応用すれば円滑にすべく相手の長所を受け入れることではないでしょうか。
そのうえで自分の長所が活きる余地を見出し、共存することこそ互いの優位性が高まるのではないかと考えます(これがビジネス上でいう“win-winの関係”)。
その選手たちの勝敗を通したドラマだけを見るのではなく、もっと自分自身の人生へ落とし込めるような教訓めいたものを俯瞰して見つけ出せるのが格闘技の面白さでもあると感じております。
それを可能とするのは選手たちが身体を張り、尊厳を賭け戦っているからです。
だからただ“ワーワー”いうのもいいですが、技術的なことでなく折角なら勝敗を通じてもっと深堀りしてみてもいいのでないかと、改めて思わせたのが本大会のメインイベントでした。
どの選手と限定するわけでなく、次回大会も期待です。
こういった観点からも引き続きRIZINを見ながら“気づき”を公開していこうと思います。
頂いたものは知識として還元したいので、アマゾンで書籍購入に費やすつもりです。😄