【日記】宅配レンタルというスタイル

 寒波が来ると言いながら、実際にはそれほど寒さの厳しくない一日。
 タルコフスキーの映画『ストーカー』を見ている。配信では、同監督の『ノスタルジア』なんかはあったりするのだが、『ストーカー』はない。ある作家が、これは絶対見ておけと書いていたので見ておきたく探しており、DVD等の宅配レンタルをやっている、ゲオで探して見つけた。
 宅配レンタルなんて、映像配信が回っていれば早晩廃れそうなものだと思っていたが、昔の映画を探すと、中古で映像ソフトを買うか、借りるかしかない事に気が付く。
 前に、音楽の話になるが、貸しCDというかなりマニアックなジャンルで活躍していた、ジャニスというお店があったのだが、そこは潰れてしまった。たぶん、そこでしか聞けないものなんかもあったに違いない。映像も売っていたり貸していたりしたと思う。全員が全員、最近封切られた映画ばかり見ている世界は、つまらないと思う。古いソースにばかり頼っていると、商業的に回らないというのもわかるが。
 逆に言うと、今、何か映像を見ようと思った時、そういう、古い良い映像を見たいという場合に、どこで借りようとか、そういう楽しみの仕方が提示されないということでもある。
 それで、『ストーカー』の話に戻ると、前にもゲオでこの円盤を借りたのだが、三時間近いという時間や、話の重みを過大に想像しすぎて、見るのに身構えてしまって、結局冒頭を再生しただけで期限が来てしまい、返してしまった。これは見たうちに入らない。しかし、やはりどうしても見ておきたい。というのでリベンジしてまた借りたというわけである。
 他にも、同じく配信では見当たらない映画、初めて知った監督でホドロフスキーという人がいるのだが、その人の映画も一緒に借りた。
 宅配レンタルも、ポストに入れるだけとはいえ、面倒なので一回で終わらせたいというのもある。また似たような見たい映画が現れたら、使うかもしれない。
 今の世の中、商業の、しかもさらに安い方の価値観に寄ってしまうというのが、一番怖いことではないか。便利だからといって使っていると、いつの間にか自分という人間が、その技術の形に塑形されているということが、珍しいことではなく、一般的になってすらいる時代、この自分の感覚を使うというスタイルを、できる限り忘れずに生きていきたいと思う。

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