【塊】変革する意識 2
そのうち鍾の音に従って落ち着いてきた意識が足元にある粘ついた液体と会話を始める、今日は調子はどうだ、全く迷走する神経そのものである、真景、と相手は聞き間違えた、意外なほどコミュニケーションにおける勘違いとは多いものだ、真景、真の光景であるという以外にあまり深い意味はないようだ、湖の湖畔に首を吊った人がいる、ニーチェではないだろう、湖畔で人の目に立つような所で、など似合わない、少し湖周が窪んでいる所があり、そこが一番景色がいい、左右に遊歩道が見える、水鳥が水面を滑っている、脳内の光景が次第に漏れ出す、頭を切断されたからだ、ゆっくりと漏れ出す、意識を意識することは出来ない、意味は生じずに滑って行って墜落する、全ては破壊の、あるいは解消の過程であると言えるかもしれない、それがどれだけ素晴らしいものだとしても、ただ、最後の過程だけを見なければいい話だ、色眼鏡で、因果を見つめるからこそおかしなことになるのだ、次第に視界がはっきりとしてくる、目の前の夢のような光景が後ずさりし、本来の灰色の空間が広がりつつある、まだそれには早いかもしれない。