【読書録】ロベール・パンジェ『パッサカリア』の詳しい感想

 前に、『パッサカリア』を読み終えたと書いたけれども、本当に、ただ読み終えたとか、どれくらい読んだ、としか書いていなかったので、さすがに中身に少しは触れようかと思う。
 ロベール・パンジェ。フランスの、前衛的作家の一人。活躍していたのは、おそらくひと昔前だ。ロブ=グリエ、サミュエル・ベケットと交流があった、といって伝わるだろうか。まさに同時期に生きていて、彼らの小説を息を吸うように読んで、そしてその流れのままに吐き出す、というように書いていたのだろう、読んでいてそんな感じがした。
 ロブ=グリエ、サミュエル・ベケットと、どの点が違ったか。二人より、少し平たく作っているという感じがある。まさしく、時間とイメージがどんどん横滑りをしていく、そして、解説にあり、題名にも明らかなのだというが無知でわからなかったが、音楽における「変奏」を手法的テーマにしており、それを、というのは主人公?の死の場面という一連の流れを、本当に幾様かにも変奏しているというそれに尽き、今の所、というのは全て読んで気付く範囲では、ということだが、それ以外のことは起きていないように思えた。
 ロブ=グリエもサミュエル・ベケットも、追随者が多い。そのうちの一人を読んだ、ということになるが、やはり、この辺りの成果を、今(そのとき、その時代といっても同じことだろう)、どう生かすのかとなったら、難しい。
 否定的なことを言ったが、こんな風にロブ=グリエやサミュエル・ベケットの小説を変奏できるのか、という感想もあるし、こんな風なものを書いてみたいとも思わされた。

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