【日記】アルトー
暖かいというよりは暑いとすら感じる気候が続いている。
アルトーの、「カイエ」を読み続けている。
前には共振しながら読んだ経験もあったと記憶しているけれども、それが信じられないくらい、頭に入ってこない。
総評として、全体として、どうしてこんな文章が生まれたのか、ということを、他人ごとのように考えることはできる。が、この人が目の前にいて、こう語っているとしたら、その一言一言が全く理解できないのではないか、という、遠さみたいなものを感じる。
ひとつ面白かったのは、ある絵をアルトーが描いていて、まるで線だけのイラストみたいなもなで、それに注釈の文章を添えているのだが、「なぜこの絵がそんな風に見えるのかというと……」と、まるで下手な絵の意義を解説しているかのような言い訳に見えたものがあった。
精神病院でのしんどい生活が垣間見えるものもあった。
問題は、フランスのあの時代が、アルトーの存在を面白がって、わかるわかると言っていたことだ。