【日記】再コロナ
コロナが再び流行り始めたと情報があらゆる方向から入ってくると、とたんに多少の咳や喉の痛みなどが気になってきて、神経が過敏なことだと呆れる。
もう何度目かわからない感染者の上昇傾向だが、今までと違うのはゼロから数千に増えるまでの時間が過去最高の速さであること、そして、その割に周囲の人の警戒心というのか、世の中がそれに対応しているという感じがぜんぜんないことだ。
ワクチンを打ったから感染者が減ったので、日本では、もう完全に収束したものと、安心し切ったのかもしれない。いわばその、寝そべった身体のような心理的緊張感のなさが、ゼロからまた立ち上がるには相当のエネルギーが要る。
こういうとき、個人的な心理学というよりは、集団に働く心理学の方に目を向けなければわからないことも多く出てくるのだろうが、こんな時でも、真っ先に頭に思い浮かぶのは、古井由吉の「先導獣の話」であるところが、人文的なものしか追究してこなかった悲しみである。