【日記】ホテルと『パッサカリア』

 今日も、ホテルに缶詰の続きのようになっている。
 実際に、缶詰をもらった、冗談のような話だ。
 ホテルに缶詰めって、響きは良いけれども、生活感がないというのがこれほど苦しいものなのだとは思わなかった。幸せとは、生活感の中にこそあるのだ。「やっぱり我が家が一番」との声に、「とはいっても楽しんできたんでしょ?」という声が上がることもあるかもしれないが、それは実際の所、単に古巣に帰ってきて安堵を覚えるという以上のことがあるに違いない。環境が変わるというのはストレスだ。変わらずに楽しめる環境というのを我々は常に追い求めているのだ。
 しかし、本質的なのは、その変わらずに楽しめる環境というものを、追い求めるには、やはり、環境を、少しずつ変えなければそれを得ることが出来ない、ということがある。親元は、いずれ離れなければならない。いずれは、自分が親にならなければならない。象徴的な意味でだ。

 そんなことを考えながら、ロベール・パンジェの『パッサカリア』に手を出し始めた。

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