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ディグ~縦と横~

音楽を新しく聴こうと思った時、どうやって選びますか?
近頃はサブスクのオススメやYouTubeのオススメで聴くという方も多いのかも知れません。

私はディグの方法には大きく3つあると思っています。「縦」「横」「飛び火」です。

縦・・・とは、好きなアーティストのルーツを辿っていく方法です。インタビューなどを読めば、だいたいはどんな音楽に影響を受けているかが分かりますので、割とディグしやすい方法であります。
しかし、私は苦手です。これができる方は尊敬します。
なぜかと言いますと、そのルーツとなる音楽を聴いたところで、好きなアーティストのエッセンスはあれど、作品を自分のフィルターで再構成したその才能に対するリスペクトがあるわけで、ルーツが全て自分の好きなものかというと、必ずしもそうでなく、いや、そうでないことが多かったからです。これができる方は、本当に熱心なファンだと思うし、できるのが羨ましいですが、性に合わないのです。
例えば、cool drive makersで「spinning drive!」というカヴァー盤が出ており、こちらのカヴァー元をあれこれ調べて聴いていったのですが、どうも自分には馴染めず・・・だったりとか。このカヴァー盤は大好きなのに、カヴァー元を聴けば聴くほど、なんか「勉強させられてる感」が出てしまい、少々しんどかった思い出があります。。。
でも、気に病むのは辞めました。それだけ、好きなその作品を作ったアーティストのことをリスペクトしているからだ、ということに定義してしまったからです。

少し話は変わりますが、「ルーツをそのまま辿って聴くのは、時代も違うし、伝わらないのではないか?」ということから、音楽評論家の萩原健太さんと黒沢健一さんが曲の美しさ自体がわかりやすいようにと、健太さんのギター1本で、健一さんがビーチボーイズを歌う(実際にはビーチボーイズには限ってませんが)という、健'zというユニットを組んでいました。こうして伝わりやすくしてくださったおかげで、ビーチボーイズの「PET SOUNDS」は好きになることができました。ルーツをそのまま好きになるというのは、実は難しいことなのかも知れませんね。

さて、続いて「横」。これは私の大好きなパターンです。
試聴機で横に並べてあったCDを聴いてみる、好きなアーティストの仲良いアーティストの曲を聴いてみる、好きなアーティストが参加している曲を聴いてみるという、つながりを重視した聴き方です。
例えば最近のことで、King Gnuの周りには類友ということもあり、やはり素晴らしいアーティストがいて、Tempalayだったり、WONKだったり、yahyelだったり、それぞれに面白かったです。
この聴き方はジャズで特に有効です。なぜならば、ジャズはリーダーアルバムというものでは、リーダーの名義でリリースされますが、サブパーソンとして、別のリーダー級の人たちが参加しているからです。その作品を聴いて気に入ったプレイヤーがいたら、その人がまたリーダーアルバムを出しているということが多々ありますので、芋づる式に楽しめます。だからこそです、パーソネルが重要なキーポイントになってきます。
あと、試聴機のポップを読んでみると、こんな感じの音楽というのが、店員さんのコメントとして書かれています。私のプレイリストに何度も入っているRe-Trickですが、それこそ、「上原ひろみ+indigo jam unit÷2」という説明が書かれていて、その説明に興味を持ったからこそ、出会うことができたのでした。活動が追えなくなった時期もありましたが、後にRe-Trickの音楽に再会でき、今でも聴く、リスナー歴の長いバンドになりました。

最後に「飛び火」。これが音楽の幅を広げる、実は重要なポイントになり得ます。
例えばラジオやテレビなどのメディア、友達のススメ、興味がないと思ったものが突然流れ込んできて、知らない間に好きになってた!なんてものです。他は普段聴かないジャンルの試聴など。ジャケ買いもコチラでしょうか。
若い時はこれが結構多かったですね。テレビで初めて見て、そのまま聴き始めるのとか。REVもそうだし、L⇔Rもそうでした。L⇔Rを聴き始めることで、音楽を聴く姿勢やディグの方法も変わっていったので、こういう突然変異も音楽を聴き続ける上で大事なのではないかと思っています。
たまには、興味ないって思っても、耳を傾けてみるのも良いかも知れません。

そういうわけで、3種類のディグの方法について触れてきましたが、少しでも思うところがあってくれたら嬉しいです。お読みくださり、ありがとうございました。

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