<特集>パパ・ママを応援するあの企業をQBBが突撃取材! 江崎グリコの「Co育て」篇
「妊婦さんを分かろうとしたい」そんな気持ちからスタートしたこの企画。
私たちももっと勉強しなければと思い立った編集部は、ママ・パパの「子育て」の悩みに向き合い、いち早く取り組みをしている企業にインタビューを行いました。
今回は、子供も大好きなお菓子「グリコ」や「ビスコ」、日本初の液体ミルクを発売したことでも有名な、江崎グリコの取り組みについてご紹介します!
同社独自の子育ての取り組み「Co育て PROJECT」の推進役であるコーポレートコミュニケーション部の宮崎 友恵さんに話を聞きました。
江崎グリコの取り組み - 「Co育て PROJECT」
「Co育てPROJECT」は、「妊娠からはじまる1000日間」を、子どものココロとカラダの基礎をつくる大切な時期と捉え、その時期の子育て課題の解決を目指すGlicoグループの新たな取り組みです。1か月の有給休暇が取得できる独自の制度「Co育てMonth」、妊娠期からの子育てノウハウを提供する子育てアプリ「こぺ」など、パパやママの子育てを応援しています。
ーこのプロジェクトが始まった きっかけや込めた想いを教えてください。
「当社では「子どものココロとカラダの健やかな成長に寄与する」を胸に創業から現在に至るまで事業に取り組んできました。約100年前の創業時に発売した栄養菓子「グリコ」は正にそれを体現する商品で、「子どもの二大天職である食べること(カラダ)と遊ぶこと(ココロ)」を同時に叶える商品でした。」
創業から 100 年近くが経ち、新たな時代の「子どものココロとカラダの健やかな成長に寄与する」を問い直した結果、家族で育児を行う「Coparenting(共同養育)」社会の実現こそが、我々が取り組むに相応しい課題の一つなのではないかとの結論に至り、2019年2月に「Co育てPROJECT」をスタートしました。
ちなみに「Co 育て」とは、生まれてくる子どもの近くにいるみんなが、「妊娠期から和気あいあいと(Communication)」「上手に協力しながら(Cooperation)」「いっしょに子どもを育てる(Coparenting)」の 3 つ「Co」を取って当社が名付けた造語です。
このプロジェクトに全社的に取り組んでおり、商品(液体ミルク、幼児食等)か ら、サービス(こぺ)、社外(産学連携)から社内(人事制度)に至るまで、様々な分野において「Coparenting」社会の実現を目指しています。
ー「Co 育てプロジェクト」の「Co」にはそういった意味が込められていたのですね。確かに、専用アプリやオンラインプログラムにおける活動では、母親となる女性のみならず、父親となる男性や周囲の方も利用対象に含まれていますね。
はい。先ほどのお話の通り、プロジェクトの目的は、家族で共に取り組む育児「Coparenting」 社会の実現です。壮大なテーマですので、当然ながら当社 1 社ではゴールへは到底辿り着くことはできませんが、当社が持つ様々なリソースを活用し、様々な解決策を用い、様々な方々と協働しながら、少しでも日本の育児環境を変えられるような活動をしていければと考えております。女性に育児を依存する「ワンオペ育児」をなくし、男性育児が自然で周囲が特別視しないような世の中にしていけたらと 思っています。
ー子育ては誰か一人が頑張ればいいというものではないということですね。実際グリコでは0歳から 6ヶ月の子供を持つ全社員を対象に、1ヶ月の休暇取得を必須とする「Co育て Month」を実施していらっしゃいますが、取り組みが始まった経緯について教えてください。
この「Co育て Month」も、家族で共に取り組む育児「Coparenting」社会の実現を目指す「Co 育て PROJECT」の一環です。「Coparenting」社会の実現を目指すには“まずは社内から”ということでスタートしました。以前の当社の男性の育休取得率は一桁台でした。その状況を踏まえ、2019 年に5日間育休を必須化することで取得率は改善されましたが、5 日間の取得期間では「Co育て」と呼ぶにはまだまだ不十分な状態であったため、2020 年に「Co育て Month(正式制度名:Co 育て出産時休暇)」を制定し、1カ月間の休暇を必須化しました。2021年8月末時点の現在、男性の同制度利用は、100%に至っています。
ー100%の取得率はすごいですね。一方で、1ヶ月という長期間にわたる休暇となると業務への影響も懸念されますが、貴社業務において何か工夫されている点はありますか?
育休を取るには、業務の引継ぎや分担の見直しなど、確かに多くのハードルがあります。しかし、だからこそ、そこで編み出されるアイデアや発想の転換があると考えています。過去に育休を取得した社員のリアルな経験談やノウハウをつぶさにヒアリングし、イントラネットなどを通じ、社内で共有する仕組みを整え、それらを可視化しました。
また、上司の理解は必須であると考え、そのために部下の育児参画を支援する意義を学ぶ管理職向けの研修を実施しています。
ー周囲の理解やサポートも不可欠ということですね。
この取り組みが始まってからの好影響は何かありましたか?
社内全体で「Co育て」への関心が高まったことで、家族で共に取り組む育児 「Coparenting」が社内で浸透しつつあり、今では子どもを授かれば男性社員も休むことが当たり前になっています。これは子育てをしている“当事者”だけに留まらず、子育て経験のない社員も同様で「育児というものに対する意識が変わった」や「一定期間、強制的に同僚が不在となることで、仕事を回す仕組みを考える契機となった」など、業務改善に繋がったとの声も一部で聞かれるようになっています。
ー当事者だけではなく、育児の経験のない人にも意識が浸透することで育休100%の実現が叶えられているのかもしれませんね。最後に、この取り組みについて、実際に休暇を取得した男性社員からの声があれば教えてください。
「子育ての「楽しさ」と「辛さ」が両方わかった。」、「妻の大変さがわかった。」という声もありました。そこから得られた経験から、業務への復帰後も「どうすれば家族との時間が増やせるか、仕事のやり方を工夫するようになった。」ということを実践されている方もいます。取得した時のみならず、復帰後の家族との関わり方においても、意識の変化があった方も多いようです。
グリコの「Co育て PROJECT」の取り組みからは、子育ては母親だけのものでも、父親だけのものでもなく、職場やその周囲の人の理解のもと、“共に”行っていくもの、そういった意識の大切さを改めて感じました。
江崎グリコさん、ありがとうございました!
「Co育て PROJECT」の詳細はこちらからご覧いただけます。