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keisuke
2020年10月26日 01:48
命と言えるほど大切なものを失うというのは、どういう気分なのだろうか。よく分からないが、いつでも、だれでも、その瞬間の顔は傑作としか言いようのないものだ。 さらに言えば、自分の身に降りかかる心配のない他人の地獄というのも、見ている分には大変愉快である。そう。思わず。 口元を覆わずには、いられないほどに。「あ・・・、あ、これは、その、違うんだ、俺じゃない!!・・そう、そうだ、このUSBメ
2020年10月8日 04:24
「はぁい、席についてー。ほら、出席取るからぁ」 月曜日、午前8時35分。朝のホームルーム前の教室の騒がしさは、笑顔一つですっと静かになる。39人の可愛らしい生徒たち。俺はこの小さな箱庭の羊飼いのようなものだ。 胸ポケットからボールペンを引き抜き、出席簿を開く。今日の欠席連絡は篠田幸歩、か。時期外れの急性胃腸炎だということだ――放課後にでも見舞いの電話を入れてみようかな。「うん、篠田以外