#小説
Into The Wonder Fairy Tale. ー2ー
「・・・、白兎、お茶を持ってきて。メルフォート・セイロンがいいわ、それかスペアミントでも齧らせて頂戴」
数日後。組織に潜り込んでいた“鼠”の始末には片が付いたし、来年度上半期の予算編成も少しずつ組み上がっている。ああ、でも最近5番街に蔓延しているという噂のゴミみたいなアッパー系薬物の取り締まりも・・けれどこれはアリス・ファミリーだけでどうにかできる問題でもないのか。警察、司法、そしてクイーン・フ
Into The Wonder Fairy Tale. ー1ー
diary. 2*19/03/04
まだ肌寒い夜半、郊外にあるこの屋敷の冷え込みはキツい。アリスの毛布を一枚増やしておいて正解だったな・・とはいえ、もうここともあと1か月もたたないうちにお別れになるのだが。
およそひと月ぶりだ。いや、それは私にとって、だが。幼い女の子の体になってしまったアリスは、初めて訪れることになるであろうあの街に、あの街に耐えられるのだろうか。才覚は十二分であるが、心