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1115「dotFes2019OSAKA」

明日出るイベントの資料を全くつくっていない。自分でも驚くほどつくっていない。とてもやばいような気がしているが、とりあえずそれをつくる前に、そのイベントと何をしゃべるのかについて指針をこの日記に書くことで、しゃべる内容をまとめる手間を省き、なおかつ日記を一日分消化できるという一石二鳥な方法を取ってみようと思う。

最近の私は、基本的に日本国内のイベントとかには無理して登壇したりせずに、パートナーの鍜治屋敷さんに出て頂くようにしている。当然のことながら、講演をさせて頂いたりとか、メディアに出させて頂くのは、テクニカルディレクションのお仕事が中心にあって、自分たちが仕事でやらせて頂いていることを説明したり、興味を持ってもらったり、共感してもらったりするためにやる「お仕事」なので、普段ニューヨークで仕事をしている自分よりも、日本で仕事のリードをとっている鍜治屋敷さんに声を出してもらったほうが合理的だ。なので、普段のイベントなども、鍜治屋敷さんにファシリテートしてもらうのが良いと思っているし、鍜治屋敷さんの方が圧倒的に民放向きなキャラクターなので、頑張って情熱大陸にでも上陸して欲しい。彼が上陸するなら私は悔しくない(もとより上陸志向はそんなにないけど)。

なので、私が日本でそういう場に出させて頂くのは、個人としての私の経験や考えにフォーカスを当てて頂ける場合や、自分の海外での活動などにテーマが絞られている場合だ。というように決めている。よく、女優さんが映画とかで体当たり演技をするときに「必然性があれば脱ぎます」などと言うことがあるが、あれと同じで「必然性があれば出ます」だ。

明日のイベントはドットフェスという、デジタルクリエイティブのある種業界イベントで、オーディエンスは恐らく若い「クリエイター」的な人、あるいはそれを目指す人たちだ。もう何回目かわからないが、私は日本に住んでいた頃はこのイベントに何度も出させて頂いていて、京都や沖縄で開催された際も出演させて頂いた。このイベントの最後に行われる「クリエイティブ大喜利」という名物コーナーのレギュラー回答者だったのだ。一緒にPARTYをつくった中村洋基さんや、起業家の家入一真さんの3人が固定席だった。

このイベントの第1回に最初に出させて頂いたときは、私はある種「最近出てきた人」で、他に出られている有名な人達に比べるとルーキーみたいなものだった。抜擢して出して頂いたようなもので、そして、当時の自分にとってはここで目立つことが非常に大きなチャンスにつながると思っていた。「クリエイティブ大喜利」に一緒に出る回答者の方々たちは、この業界に就職する前から雑誌やメディアで見て、憧れ続けていた「雲の上の人たち」だった。自分がその並びで出演をさせてもらえることが、奇跡としか思えなかったし、ここを逃したら二度とその奇跡はない、と思った。

ので、「デジタルでなにかつくって笑いをとる」というゆるい設定の中で、結構必死に、いや、絶対に他の人に負けないというレベルの気持ちでイベントに出させて頂いていた。この面子の中でちゃんと存在感を出すことができなかったら自分はこの先に行けない、というくらいに思っていた。大袈裟ではなく、「ここでしょっぱいことをしたら、辞めるしかない」くらいに思っていた。「クリエイティブ大喜利」コーナーは、ものすごくゆるいノリで展開される、お客さんとして見たら楽しいだけの牧歌的なコーナーだが、私にとっては、その後の人生を左右するくらいのあまりにも大きいチャンス、大ボス戦だった。

なので、わざわざ会場の下見にも行ったし、かなり前から綿密に準備を進めた。前日なのに何の準備もできていない今と大違いだ。

そして最終的に、恐らくイベントでは存在感を出すこともできたというか、手応えはあったし、前述の通り私はレギュラー回答者として継続的に出させてもらうことができるようになった。

人生とか仕事というのは、漫画やロールプレイングゲームと同じで、そういうボス戦を繰り返す中で、どんどんボスが強大化していって、たまーにこういうレベルの身に余る大きなチャンスがやってくることがある。ドットフェスは、そういう意味で自分のホームグラウンドのようなところがあるし、その後そんなボス戦を重ねていくうちに、私は新たなボス戦を求めて海外に移住して、対峙したことがないサイヤ人たちと戦うことになった。

明日、ホームグラウンドであるドットフェスというイベントで、「ニューヨークに移住したデジタルクリエイターの七転八倒サバイブストーリー」というテーマでお話をさせて頂く。ドットフェスから始まった私のロールプレイングゲームの中で、その後どんな敵と戦い、どんな体験をしてきたか、という話になるので、ゆえに、出発点であるドットフェスでそういうお話をさせて頂くのは「必然性がある」のだと考えた。明日は、ドットフェスを卒業した後の自分が、どんな強大で厄介なボスと対峙することになったのか、今まで話したことがないようなことも含めて話すことができればと思う。

全く何の準備もしてないけど。