0224「現代のアヘン窟」
やったら絶対儲かりそうなビジネスを思いついた。思いついたけどあんまり自分でやる気もしていないので、是非最後まで読んで、やるぞ! という方は私に思いつき料をお支払い頂いて、やって頂くと良いと思う。
今週は真冬休みで子供たちがずっと家にいたので、長男のサタデースクールの送迎に妻を残して子供3人全員連れて出て、ずっと街をふらふらしていた。長男を送って、ユニオンスクエアの公園で下の2人を遊ばせて、めっちゃブランコ押して、寒いからそのままBest Buyに行って電気屋を楽しんで、お腹がすいたので閑古鳥で話題のいきなりステーキに行ってずっと客がうちしかいない中飯を食い、ユニオンスクエアに戻ってBarnes & Nobleの2階で子供たちを遊ばせて、飽きたのでflatironの前のレゴストアに行って時間をつぶした。こうして書くとニューヨーク感がある。前に、「日々の行動にうまいことニューヨーク地名やそれっぽいものを入れると、非常にかっこよくなる」ということについて書いた。
日記というのは、書き続けていくと、こういうどうでも良い考えごともわりと整理されてアーカイブされていくので、思いの外素敵な薬効があるものだなと思う。
先週の土曜日も、実はflatironで日本のCMの撮影を見に行ったりしていて来ていたのだが、現場だったしレゴストアには寄らなかった。今日久しぶりにレゴストアに行ったら、10年前くらいから気になっていた、「タージマハル」、日本円にして約¥40,000が店頭に置いてあって、「あ!」となった。建物系のレゴでも、かなりごつい部類に入るこのタージマハルは、箱からしてすごい存在感を放っており、しかも2つも入荷していた。
それだけではなくて、レア物として知られる巨大ミレニアム・ファルコンとか、やっぱり$400くらいするでっかいシンデレラ城とか、でかいレゴが好きな人間としては興奮を止められないものがたくさん入っていた。いつもはそうでもないので、どうしたのか。
私は何しろ、でかいレゴが好きだ。東京の家にも、巨大なスターデストロイヤーが置いてある。でかいレゴが好きというよりか、普通にレゴが好きなのだが、レゴというものはでかければでかいほど良いのだ。なぜかというと、でかいレゴであればあるほど、つくるのに時間がかかるからだ。レゴを組み立てていると、とにかく俗世の煩悩とか、食欲とか、睡眠欲とかいろんなものがどこかに行ってしまい、ある種の酩酊状態になる。
自分の場合、受注型の人間なので、大量のブロックがあって、自由に好きな造形をつくってください、みたいなクリエイティブな感じでレゴを組み立てるのは全然違う。そんな自由なことを言われると、何か考えてしまって疲れる。酩酊状態にならない。説明書通りに完璧に決められた手順できっちりつくるのが楽しいのだ。手順は細ければ細かいほど良くて、とにかくひたすら人に言われた通りに組み立て続けたい。レゴの組み立てに没頭しているときの自分は、もちろんそんなのやったことないが、本とかで読む限り、アヘン中毒の状態に近い。アヘンをやっていると、やはり食欲とか睡眠欲とかいろいろ忘れてただただアヘンを喫い続けるものらしい。
つまり、なるべく長い時間酩酊していたいわけなのでレゴはでかくてなるべく手順が多いほうが良い。で、さらに面白いことには、何しろ組み立てに没入して気持ち良いのは組み立てている間だけなので、できあがったものはそこそこどうでも良いのだ。巨大なタージマハルを作り上げて、じゃあそのタージマハルを飾って愛でるのかというと必ずしもそんなことはなくて、割とどうでもいい。
しかし困ったことに、レゴはすごく高い。自分の感覚だと、$400のレゴだと、だいたい8時間でできるのかなと思うので、つまり1時間$50かかってくることになる。1時間6,000円は高い。私なんかだとそういう贅沢はなかなかできない。そしてさらに困ったことに、タージマハルレベルの巨大レゴとなると、つくった後に邪魔なのだ。家にそんなでかいものを飾るスペースはない。今日も私はタージマハルを発見して非常に欲しくなって、よほど買ってしまおうかと思ったが、絶対に妻に怒られる。そんなものを置くスペースがないのだ。
ここまで考えたところで、天啓が下りた。「あ! これは、もしかしたら現代のアヘン窟をつくることができるかもしれないぞ!」と思った。アヘン窟というのは、中国とかでお客さんにアヘンを出していたお店で、中国のアヘン中毒者はみんなアヘン窟に入り浸って日がなアヘンを喫っていた。
冒頭で触れた、やったら絶対儲かりそうなビジネスとはこれである。それは何かと言うと、
「レゴ組み立てカフェ」
だ。そのお店には、タージマハルだろうがスターデストロイヤーであろうが、ミレニアムファルコンであろうが、あらゆるごついレゴが常備されている。店を訪れると、たとえば実際の価格の1/10の価格、つまりタージマハルだったら¥4,000くらいでタージマハルの組み立てセットを説明書と一緒に借りることができる。そして、お店の中の組み立てブースで、完成するまで心おきなく、説明書に書かれている通りにレゴを組み立て続けることができる。
完成したレゴは、お店の人に返す。完成品の写真くらいは撮ってお客さんに渡してあげると良いだろう。
で、完成したタージマハルは、店舗の横にある「分解スペース」で、完全に説明書の逆の手順で分解される。そこには阿寒湖のお土産用のまりもを丸める「まりも職人」(トップレベルの職人さんは年収1,000万行くと聞いた)みたいな、「レゴ分解職人」が常駐している。
この「レゴ分解職人」は非常に重要だ。細かい部品も、ちゃんとバラして、原状復帰しなければならない。丁寧さが必要な職人芸だ。ちゃんと元通りに袋詰して箱詰めする。そうしないと、次に組み立てる客が、「あ、ここ既に組み立てられてる」みたいなピースに直面したとき、超萎えると思われるからだ。
このお店の形態は、実はでかいレゴ好きが抱える問題のほとんどを解決している。多くの、レゴを組み立てたいだけの人は、もっと安くいろんなレゴを延々と組み立てたいわけだし、かさばる完成品を所有したくない。単純に組み立てている過程でひたすら酩酊していたいだけなのだから、この形で全く問題がない。この形なら、毎日いろんなレゴをダラダラと作り続けたって良い。すごい気持ちいい。そんな店があったら夢じゃないか。これって、完全に現代のアヘン窟ではないか。みんなこの夢の国で、食べることも眠ることも忘れてガリガリになりながらタージマハル組み立ててるのだ。
お店的にも、価格設定が商品価格の1/10なら、10人にタージマハルをつくらせれば良いので、たぶんすぐに利益が出始める。半年くらいでうまく回り始めるのではないか?
場所は、大阪の千日前の味園ビルがいい。
味園ビルには、そういう系の店がたくさんある。味園ビルを起点にして全国展開を広げていく。
いろいろ考えを巡らせてみても、まず重要なのは、良い「レゴ分解職人」と出会うことだと思う。あるいは自分で2年間くらい職人としての修行をしてから開店するか。
私はいま忙しくて全然無理なので、このアイデアを実現したい人がいたら、是非、↓から思いつき料として何なら¥40,000をサポートして頂き、是非実現して欲しい。
とりあえず、さしあたり完成品売る感じでも良いからタージマハル買って組み立てたい。少額でも良いです。とにかく組み立てたいので、お願いします。