見出し画像

【俳句連作】浮遊(西川火尖)

話とは蛍狩その後のこと

六月のどんな水色とも違ふ

空蟬のやうなタイムマシーン描く

撒水車子を引き寄せてゆく速さ

一匹の黒蟻怒りながら逃げ

夕立の遠のくセレモニーホール

真つ白のヨットのやうに置く絵本

短夜の床へぼんやり移す熱

短夜の映画の青を手に掬ふ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?