
1文字もノートをとらずに医師国家試験に合格した元東大理Ⅲ生の記憶術
今日は、少しキャッチーなタイトルにしてみました。
というのも、先日、来院された方から「子どもの勉強について悩んでいる」という相談を受けて、自分の経験をもとにアドバイスをしてみたのですが、このような話は受験生や資格取得を目指す大人の勉強にも少しは役立つことができるのかもしれないと思い、このテーマについて書いてみることにしたのです。
今回は、記憶法について書いてみます。いわゆる暗記モノについての勉強法ですが、他の勉強にも応用することができます。
さて、ノートを取らずに膨大な情報を記憶することは可能だと思いますか?
僕は、受験や国家試験の勉強を通じて、一度もノートを使用して記憶したことがありません。(もちろん授業はなんとなくノート取ってましたよ)
漢方薬の生薬構成を全部覚えた時もそうです。
教科書や参考書は線なども引かず綺麗なままです。
このように聞くと特別な記憶力があるのかと思うかもしれませんが、そんなことはありません。
ただのめんどくさがり屋なのです。
それでも難関試験を突破してきた秘訣は、あるシンプルな記憶術にあります。
確かに、ノートを取らないでただ眺めているだけで覚えるなんてできっこないと思う人もいるでしょう。
覚えているのか覚えていないのか分からない、とか、どこをやったのかも忘れてしまったりして不安になる、とか思うかもしれません。
しかし、その一方で、ノートに書くと、それだけで覚えたような安心感が生まれ、記憶の定着が浅くなりがちです。
僕は、ノートを取るのに時間を割くよりも、記憶する時間に集中する方が効率的だと考えたのです。
それに書くのも面倒ですし、ただ書いてるだけではあまり覚えられる気がしませんでした。
なので、その代わりに、教科書や参考書の情報をとにかく頭に刻み込む方法をやってみました。
具体的には、次のような方法です。
1 教科書や参考書を読んで流れを理解する
2 本を閉じて何が書いてあったかを思い出す
3 思い出せなかった部分を確認し繰り返して補強する
とにかく2番目と3番目が大事です。
書いてあった内容を自分自身に質問して頭の中で答える、思い出せなかったらもう一度見る、ということをひたすら繰り返します。
これが意外にも思ったより早く覚えられるのです。
よく、学んだことを誰かに説明するとより記憶が定着する、と聞いたことがあるかもしれません。
聞いてくれる人がいればそれが一番いいと思います。
ただ、そんな膨大な量の話に付き合って聞いてくれる人はなかなかいないでしょう。
だから頭の中で自分に説明するのです。先生は自分、生徒も自分です。
孤独で寂しいかもしれません。でも、それが修行というものです。
このような記憶法、不安に思うかもしれませんが、どうやら科学的にも効果があるとされているようです。
このような記憶法を「アクティブリコール」と呼びます。
アクティブリコールは、脳が情報を思い出す過程で記憶を強化するという科学的に実証された学習法だそうです。
複数の研究において、読み返しや受動的な学習法と比較しても最も効果が高い記憶法であることが示されています。
僕は、どこかで学んでこの方法を実践したわけではないのですが、たまたまアクティブリコールについての記事を読んで、自分の記憶法はこれだったのかと知りました。
ただ、僕はこのやり方には少しコツがあると思います。
僕なりのポイントは、1日に覚える量は無理なく長すぎない範囲で行い、一度覚えたら、1日から数日間隔をあけて何回か繰り返すことです。
例えば、翌日は、前日覚えた部分を思い出してから新しい部分に進みます。
それを繰り返していき、例えば1週間後に前週の覚えた部分全体をもう一度思い出してみるという風に進めていきます。
そして、記憶が曖昧な部分をきちんと明確にして適当にしないことが大切です。
覚えられていなくても、焦らず、範囲を狭めたりしながら着実に進んでいきましょう。
このシンプルな方法は、特別な才能がなくても誰でも実践できますし、学び方を変えるだけで記憶力が向上するのを、きっと実感できるはずです。
ただ、漢字の記憶についての効果は分かりません。漢字を覚えるのはあまり好きじゃなかったのもありますが、僕は漢字がそれほど得意ではありません。書かないとダメなのかもしれません。
それでも、多くの試験勉強や資格試験だけでなく、日常の学びにも応用できますし、道具も何もなく始められますので、よかったらやりやすいところから一度試してみてください。
もし、この勉強法が誰かの参考になれたら嬉しいです。
気が向いたら他の勉強法や考え方などもそのうち書いてみようかなと思います。