見出し画像

合格にとらわれず、試験に合格する

私の試験勉強に対する見方を理解いただくために、以前ブログに載せた記事を少し修正して掲載します。


私は試験を自分の実力を知り、底上げするツールとして利用してきました。したがって、試験勉強は過去問を解いて、試験形式に慣れるぐらいしか行ってきませんでした。なぜなら、語学を勉強しているとき、いつも使える英語、使える中国語、使えるロシア語を念頭においていたからです。


実際、今回帰国後HSK6級と英検一級を受ける際も、落ちることは考えていませんでした。過去問を解いてみて、自分はすでにクリアしているということがはっきり感じ取れていたからです。実際の試験では両方とも時間配分の点でかなりの失敗をしたにもかかわらず、余裕で合格できました。


30年以上前、英語力ほぼゼロから準一級・TOEIC885を2〜3年ぐらいで取得しましたが、これも使える英語を模索した結果のことでした。テスト勉強は全く行っていませんでした。


実はその直後に英検一級にも数回挑戦したのですが、ことごとく失敗しました。通信講座も受けても惨敗。あきらかに実力不足でした。資格に固執すると勉強も楽しくなくなります。そのときふとわれにかえりました。自分は英検一級をとるために英語を勉強を始めたわけではなかったと。


それで思いを切りかえ、翻訳の仕事に猛烈に励みました。そして、毎週月曜日に図書館に通い、日経新聞、朝日新聞を始めあらゆる新聞社の求人欄から、翻訳者募集を探し、トライアルを受け続けました。はじめは、箸にも棒にもかからなかったのですが、そのうち、ぼちぼち合格し、仕事ももらえるようになりました。面白いことに、トライアルの不合格は、英検一級の失敗とは違い、やる気を駆り立てるものでした


仕事をしても出来が悪く、すぐにクビみたいなことを繰り返していましたが、少しずつ力をつけていきました。結果、リピートもかかるようになっていき、最終的に、世界大手のローカライザーに20数年おせわになっています。GAFAMを始め、IT、車、観光、ライフサイエンスの翻訳やレビューを行っています。


振り返るとあの時、道を踏み外さなくてよかったなとつくづく思います。つまり試験を目的としなくてよかったと。


使える英語を目的にする最大の利点はモーチベーションが持続するということです。試験にクリアするテクニックなど学ばなくていいのです。ほんとうに使える英語を自分で模索して、鍛錬していく。それはとても根気はいるけど、楽しいことでした。


おそらく、語学試験を受ける人のほとんどが、語学を上達したいと思っておられると思いますが、いつの間にか試験そのものが目的になっている人を多く見かけられます。そうすると、勉強はつらくなるかもしれません。


所詮、語学試験は大学入試とは違います。大学入試は大学に入るためだけの試験ですが、語学試験は自分のレベルを知り、実力を底上げするのに使えるツールです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?