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映画激論 「それでもボクはやってない」

年度: 2007 国: 日本 公開日: 2007年1月20日

リアルでした、周防監督の新境地ですね。


劇中、音楽は2回かかっただけだと思います。
そのぐらい法廷のリアル描写に 徹底して創られていますので、
前作のエンタメを期待した観客からは 賛否の分かれるところだと思いますが、 とても心意気のいい割り切りです。


「刑事事件の有罪率99.9%」 という事実がこの作品の
テーマであり、 我々に対する問題定義です。


「被告は一回の裁判を 通過するだけの存在だが、 検事や裁判官は、 何度も顔を合わせる同じ業界の人間である」
という主張に うなずかされるシーンの連続です。


被告人の「否認」は国家反逆、 無罪判決は裁判官の国家への異議申し立てと
マイナス評価されるなど 知らないことばかりの 裁判の世界は 21世紀ではなく、 戦前の国民総動員時代を思わせます。


この裁判の世界では、 「事実かどうか」は問題ではないという
この映画の結論の前にして 「どうすれば自分を守ることができるのか」
という恐怖を感じました。


明日から満員の急行列車には乗れない!


10年に1本がこれなら、 周防監督は、作家としてすばらしい仕事を
されていると思いますよ。

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太田泉
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