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「青豆の日」7月-Vol.2

「それから、ひとつ覚えておいていただきたいのですが、ものごとは見かけと違います」と運転手はルームミラーに向かって言った。


ここで青豆は、「1Q84なる世界」に召喚される。

そこは、彼女がいままで住んでいた1984年の世界と同じようでいて、違う。そこでは、警察の制服が変わっていて、リトルピープルがいる。

そこは、二つの月がある世界だった。

青豆は小説「空気さなぎ」を読み、この「1Q84なる世界」、は天吾が立ち上げた世界だと実感する。
嵐の夜、リーダーから事の経緯を聞いたあとのことだ。

青豆は、天吾が立ち上げたこの世界に自分が召喚されたことに感謝し、彼に包まれている幸福感を得る。

そう、つまり創造主になった天吾の御業も、ここ「首都高三号線の非常階段」から始まるのだ。

創造主は、まず初めに、自分の最も大事な人をこの世界に召喚した。
それが自分の100パーセントの恋人である、青豆だ。

「首都高三号線の非常階段」は実在した。「1Q84なる世界」の始めの地として。

僕は、長年探していたものを見つけた不思議な感動を抱きながら、「首都高三号線の非常階段」をあとにした。

このときの感覚こそが、100パーセントの恋人を長い間忘れてしまいながら、ある日突然、めぐり合う彼ら二人の心象に近いのかもしれない。

ねぇ、君のことを10年もさがしていたんだよ
わかっているかい

もちろん非常階段が返事をしてくれることはなかった。



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太田泉
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