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奥村政之国際グループ担当部長とは何者なのか?〜国際スカウトの謎〜

スワローズは来期の新外国人選手として、ピーター・ランバート投手とマイク・バウマン投手を獲得しました。そこそこメジャーでも実績のある投手をそこそこのコストで獲ってきたようです。今のところ期待しかありません。

新外国人関連のニュースが流れてくるたびに、必ず目にするお名前があります。奥村政之国際グループ担当部長。外国人選手に比較的恵まれているスワローズにおいて、奥村さんは相当な手練れ、凄腕なのだと思われます。

しかし、その奥村さんがどのような方なのか、あまり情報が外には出て来ません。基本的に国内の編成やスカウトの方はプロ選手あがりが多く、ゆえに知っている方がほとんどです。調べればいくらでも経歴は出て来ます。スワローズで言えば、小川淳司GMも、伊東昭光さんも、橿淵聡さんも、そもそもは選手でした。(そして青木宣親さんも編成に仲間入り!)

しかし他球団も含めて、いわゆる国際担当、国際スカウトと言われる方々はプロ選手あがりではない方が多そうなので、その経歴はほぼ表に出て来ません。

そんな謎の存在であり、だからこそ気になる、そして大切なスワローズの戦力である奥村さんの断片的な情報をまとめてみたいと思います。

なんと野茂英雄さんの初代通訳だった

野茂さんの通訳であったという経歴、実は今回調べるまで知りませんでした。野茂さんの通訳を務める以前は、マイナーリーグでマック鈴木さんのサポートをされていて、あのストライキにより失業していたところをドジャースに拾われたようです。1995年のことです。これより前の奥村さんについては情報がありませんでした。その後、3年ほど野茂さんの通訳を続けたそうです。MLBの日本人通訳の先駆けです。

「あの方」のおかげで日本人メジャーリーガーの通訳も大注目される時代。その元祖が奥村さんだったとは驚きですし、そんな方がスワローズにおられることを誇りに思います。そして、MLBをバックボーンに持っていたことは奥村さんの強みになっているのではないでしょうか。

ホークスを経てスワローズへ

これらの記事によると、奥村さんはホークスを経て2003年からスワローズに入団とあります。ホークスでどんな業務に従事されていたかはわかりません。やはり通訳でしょうか。

ところでスワローズには奥村さんの前任者としてウィキペディアにもページが存在するくらいのレジェンド国際スカウトがいます。中島国章さんです。

中島国章さんが読売ジャイアンツへ移るのが2005年なので、在籍の重なる2年間で、中島さんから奥村さんへの何かしらの古今伝授があったのではないかと推察します。

そしてこれ以降は、ほぼ奥村さんの眼力により外国人選手が発掘されてきたそうです。奥村さんが発掘してきたであろう、スワローズ史を彩る外国人選手たちがこちら。

2007年:グライシンガー、ガイエル
2008年:林昌勇
2010年:バーネット、ホワイトセル
2011年:バレンティン
2012年:ロマン、ミレッジ
2015年:オンドルセク
2016年:ルーキ
2017年:ブキャナン
2018年:カラシティー、ハフ
2019年:マクガフ、スアレス
2020年:エスコバー
2021年:サイスニード、オスナ、サンタナ
2022年:コール
2023年:ロドリゲス、ピーターズ
2024年:ヤフーレ

助かってますねえ。スワローズがどれだけ優秀な外国人選手に支えられてきたか。奥村さんの貢献は計り知れません

バーネットとガイエル

そしてガイエルが2019年に、バーネットが2020年に、編成部アドバイザーに就任し、外国人選手の発掘やサポートに従事しています。彼らが実際にどれくらいの仕事を負っているのかも外からはよくわからなかったのですが、引用した記事によれば、獲得候補リストを奥村さんに提示しているとのこと。頼もしい限りです。

ちなみに台湾でコーチをしていたロマンとも連絡を取り合っていたそうで、直接的ではないにせよ、翔聖投手のドラフト指名にも影響があったのかもしれません。またランパード投手獲得の際は、マクガフからも連絡があったと報道されていました。引退後もスワローズと、奥村さんと、繋がってくれる外国人選手たち。こういうネットワークも奥村さんの武器と言えそうです。

国際スカウトの謎

ここまで奥村さんの知りうる限りの足跡と功績をまとめてみたわけですが、奥村さんに限らず国際スカウトと言われる人たちの仕事にはいくつかの謎を感じています。

①そもそもは野球のプロではなかったはず
おそらく国際スカウトと言われる方々は、通訳などの仕事をベースにして、編成やスカウトに仕事の幅を広げていった方が多いのだと思います。つまり、野球選手の能力を見る目というのは後発的である可能性が高いはず。言語とコニュニケーションの専門家が、どのようにスカウトの目を鍛えていったのでしょうか。だからこそ最近はガイエルやバーネットのように、球団OBの外国人を現地スカウトとして抱えている球団も多いのでしょう。

②そもそもは交渉のプロでもなかったはず
選手の獲得にあたっては、MLBのGMや編成、選手の代理人といった交渉のプロとも渡り合わなければいけません。お金のことも契約のことも法的なことも関わります。いったいどのように交渉の能力を磨いていったのでしょうか。奥村さんの場合、入団当初は通訳の仕事の比重が高かったのかもしれませんが、国際スカウトを任されるまでにどのような準備?鍛錬?をされたのでしょうか。

③どこまでMLBの内部に入り込めているのか
国際スカウトの方々はどこまでフリーパスでの現場視察や介入を許されているのでしょうか。メジャーの、マイナーの膨大な公式戦、キャンプや練習施設、いくらでも入っていけるものなのでしょうか。MLBのシーズンオフの契約において重要な位置づけであるウィンターミーティング、NPBの国際スカウトの方々は入り込めるのでしょうか。いずれにせよ、日本とは比べ物にならない広大な市場を相手に、相当なネットワークと行動力が要求される仕事なのだと思います。

※スワローズではないけれどベイスターズの国際スカウトの話。

国内のスカウト以上に、その実態がなかなか表に出ない国際スカウト。しかし、その役割はチームの命運を左右します。外からは見えないことだらけのお仕事ですが、これからも期待と注目をしていきたいと思います。

公式YouTubeとかで奥村さんにインタビューしてくれないかな。

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