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MLB2年生の雑感②〜MLBのサイドストーリーがハートフルに過ぎる〜

①はこちら。観察の前提がダイヤモンドバックスとスワローズであることにご了承ください。

プロスポーツについて報道される内容は様々です。もちろんメインストーリーは試合内容であり、競技や勝敗そのものに関わること、チームマネジメントに関わることが、その中心となります。

しかし、そんなメインストーリーに混ざるサイドストーリーにもプロスポーツを追いかける楽しさがあります。MLBを追いかけていてびっくりするのは、オフィシャルに流れてくる、このサイドストーリーがハートフルに過ぎること。

ダイヤモンドバックスのケース①

敏腕GMマイク・ヘイゼンと家族の話です。彼の妻であるニコル・ヘイゼンは2022年に脳腫瘍で他界しています。そのニコルとマイクの絆の話。そしてGMと監督の友情の話。

マイク・ヘイゼンのGMとしての手腕に魅了されたこともダイヤモンドバックスを追いかけるきっかけになったわけですが、筆者がファンになる前、ダイヤモンドバックスは2021年は110敗、2022年は88敗のチームでした。そして2022年8月にニコルの死。

GMとしても、夫、父としてもつらい時期を過ごしたに違いないヘイゼン。そんなヘイゼンを家族ぐるみで支えたのがチームの監督であるトーリ・ロブロだったそうです。

レッドソックスでともにチームに携わっていたヘイゼンとロブロが、GMと監督としてアリゾナにやって来たのが2017年のシーズンです。以降、公私にわたり苦楽をともにし、長期にわたりタッグを組んでいます。そしてニコルの死を乗り越え、2023年にナ・リーグを制覇しワールドシリーズへ。

悪く言えばこのチームはGMと監督がずぶずぶに癒着しているのです。でもGMと監督がこんなにも信頼で結ばれていること、つらくもハートフルなストーリーに支えられていることに衝撃を受けました。長期政権もある一方で、ビジネスライクにことが運ぶ印象のあったMLBで、このようなGMと監督の関係は異常でありつつも、応援しないわけにはいかないじゃないかと思ってしまっているわけです。

ダイヤモンドバックスのケース②

2023年の新人王、コービン・キャロルがベースボールカードを集めている話。2023年加入のエバン・ロンゴリアが、キャロルにベースボールカードにサインをお願いしたことが、キャロル自身もベースボールカードを集めるきっかけになったのだとか。

縁あって同じチームでプレーすることになった全く境遇の異なる2人。メジャーリーガーとしてラストシーズンを迎えることになる37歳の大ベテランと、チームの快進撃の象徴となる22歳のスーパースターの卵の微笑ましい交流

キャロルについては台湾系アメリカ人のお母さんとのエピソードや、幼い頃からのヒーローであったイチローさんとのエピソードなど、人柄やバックグラウンドを感じられる話がちょこちょこ出て来ます。

ダイヤモンドバックスのケース③

若手スターターのブランドン・ファートの話。2023年のシーズン当初は結果が出ずに苦しんだファートが、マイナーでどのような魔改造を経て、ポストシーズンでの大活躍に至ったのかの話。

プレートの踏む位置を3塁側から1塁側に変えたそうです。そしてシンカーを進化させ、フォーシームの割合を減らしたらしいです。素人でもデータを研究すれば気づけそうなことであるとはいえ、こういうことを公式に書いちゃっていいんでしょうか。こんな話がピッチングコーチとファートの関係性を軸に物語風に語られていきます。おもしろい。

MLBのサイドストーリー

MLBはこのようなストーリーが公式ニュースとしてリリースされます。プライベートや家族にもかなり踏み込んだストーリーなので、こういうのをサラッと爽快にやれてしまうのがアメリカならではなのかなと思う一方、日本ではやはり、なかなか出しにくいストーリーなのではないかと思います。

スワローズのケース①

中村悠平選手の奥様の闘病の話。ムーチョはご家族の話がけっこう出てくる気がします。息子さんがオジギソウを「やまだ」と呼んでいる話もハートフルで好き。

スワローズのケース②

コンタクトの度数を使い分けるという大西投手の謎のルーティンの話。でも何となくなるほどと思う。

スワローズのケース③

長岡選手とお母さんの話。これはもう長岡選手を語る上で欠かせない話になっていますね。そりゃひできを応援したくなるわ。

NPBのサイドストーリー

選手個人のSNSを頻繁に追いかけたりすれば、いろいろなエピソードを知れるのでしょうけれど、筆者はそこまではしていません。サンスポを追いかけているだけでは基本的にはメンストーリーのみに終始することがほとんどです。メディアにはもっといろいろなサイドストーリーを報道してほしいなと思う一方で、選手の気持ちになれば、そう容易いものであっては困るというのも理解できます。

MLBとNPBの違い

いろんな媒体でサイドストーリーに触れることはできなくはないけれど、あちこちにアンテナを張っておかないと、なかなかハートフルなストーリーには出くわせないのがNPBです。一方、公式ホームページを眺めているだけでも、どんどんサイドストーリーが出てくるのがMLB。文化やシステムの違いはあるでしょうけれど、エンターテイメントとしては、MLBのこの姿勢はありがたく思っています。

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