
スワローズの外国人選手の成功確率はどれくらいか?〜その②中島国章さんの時代を中心に〜
ここまでの経緯としては、スワローズの国際スカウト奥村政之さんについて書き、スワローズの外国人選手の成功確率について調べてみました。
では奥村さんの前の時代、レジェンド国際スカウトである中島国章さんを中心とした時代に遡るとどうなるだろうというのが今回です。
【大当たり】※トップクラスの活躍をした
★リグス(2005-2008) ★ホッジス(2001-2003)
★ラミレス(2001-2007) ★ハッカミー(1999-2000)
★ペタジーニ(1999-2002) ★ホージー(1997-1998)
★ブロス(1995-1997) ★オマリー(1995-1996)
★ハウエル(1992-1994) ★パリッシュ(1989)
★ホーナー(1987)
《24.4%》
いちおうここに入れた選手たちも、スワローズ在籍中ずっとトップクラスの成績を残していたかというと、そうではない選手が多いです。複数年在籍してくれて、ずっとトップクラスだったのはラミレス、ペタジーニ、オマリー(2年だけだけど)でしょうか。トップを維持できる選手というのは、ほんの一握りです。
【まあまあ】※レギュラークラスの活躍をした
★ラロッカ(2006) ★ガトームソン(2005-2006)
★ゴンザレス(2004-2008) ★ベバリン(2003-2004)
★ベッツ(2003) ★ニューマン(2001-2002)
★レモン(2000) ★スミス(1999)
★テータム(1997) ★ミューレン(1995-1996)
★クラーク(1994) ★ハドラー(1993)
★レイ(1991-1992) ★デービス(1989)
★ギブソン(1988) ★デシンセイ(1988)
《35.6%》
レギュラークラスと言っても成績には幅があり、一緒くたにこのカテゴリーに入れていることに異論もあるでしょうけれどご容赦を。
【いたっちゃあいた】※一軍で出場していたこともある
★マウンス(2004) ★マーチン(2004)
★ハースト(2001) ★エーカー(1998-1999)
★アンソニー(1998) ★パリデス(1992)
★バートサス(1991) ★バニスター(1990)
★マーフィー(1990) ★郭建成(1989-1991)
《22.2%》
このあたりになるともはや知らない選手…。
【ダメだった】※一軍では活躍できなかった
★ロブロ(2000) ★バチェラー(1999)
★ドリスキル(1998) ★ムートン(1998)
★オルティス(1997) ★ロックフォード(1990)
★アイケルバーガー(1989) ★ハーパー(1988)
《17.8%》
NPBではダメだったロブロが、この1年の経験も糧にMLBの監督に。何がどうつながるかわかならい、おもしろいものです。
まとめ的なこと
①成功確率の比較
前回調査した奥村さんの時代(最近)は以下のようになりました。
・トップクラスの活躍をした「当たり選手」→ 17.3%
・レギュラークラスの活躍をした「まあまあ選手」→ 36.5%
・一軍にいたタイミングもある「いたっちゃあいた選手」→ 15.4%
・一軍では活躍できなかった「ダメだった選手」→ 30.8%
「当たり選手」と「まあまあ選手」をいちおうの「成功」の定義とすると成功確率は約54%です。
今回調査した期間(昔)は以下のようになります。
・トップクラスの活躍をした「当たり選手」→ 24.4%
・レギュラークラスの活躍をした「まあまあ選手」→35.6%
・一軍にいたタイミングもある「いたっちゃあいた選手」→ 22.2%
・一軍では活躍できなかった「ダメだった選手」→ 17.8%
つまり成功確率は60%ということになります。奥村さんの時代より「当たり選手」が多く、「ダメだった選手」が少ないということになります。
②外国人獲得数の違い
前回調査(最近)が18年間で外国人獲得数52人でした。今回調査(昔)が20年間で45人でした。最近の方が外国人選手枠も大きいですし、外国人選手同士で一軍枠を競争させることも多くなっています。よって、昔の方が外国人選手の成功確率が高かった、ダメだった選手が少なかった、という単純な話でもなく、昔は多少我慢してでも一軍で使う選手が多かったでしょうし、最近は競争に負けて一軍出場すらままならない選手も出て来ている、という側面があるのではないでしょうか。
③1990年前後はけっこうメジャーリーガーを獲って来ていた
現在、外国人選手の主流はMLBに定着できない20代後半の選手が多そうです。以前より格段に情報網も発達しているわけで、マイナー選手の情報も入って来やすい環境にはなって来ていると思います。また、MLBとの経済格差、円安もあり、メジャーリーガーに大金を注ぎ込むことも、そう簡単なことではないはずです。
一方、昔は情報も少なく、実績のあるメジャーリーガーを獲ってくることがチームにとっては最適解である場合も多かったのかもしれません。
来日までにMLBでそれなりに実績を残していた選手を挙げてみます。
★ホーナー(1987年入団、960試合出場、ホームラン215本、通算打率.277)
★デシンセイ(1988年入団、1649試合出場、ホームラン237本、通算打率.259)
★パリッシュ(1989年入団、1891試合出場、ホームラン256本、通算打率.263)
★デービス(1989年入団、481試合登板130S)
★バニスター(1990年入団、来日前133勝、二桁勝利8回)
★マーフィー(1990年入団、1360試合出場、ホームラン166本)
★レイ(1991年入団、1353試合出場、ホームラン53本、通算打率.290)
★ハウエル(1992年入団、4年連続100試合以上出場、ホームラン15本以上)
★ハドラー(1993年入団、来日前70試合以上出場5年)
★クラーク(1994年入団、来日直前2年連続140試合以上出場、ホームラン10本以上)
★アンソニー(1998年入団、682試合出場、ホームラン78本)
ホーナーがダントツで有名ですけれど、それ以外でもなかなか実績のある面々。1990年前後というのは今とはずいぶん様相の違う時代だったようです。まさにバブル?むしろ、大昔はメジャーリーガーを獲って来るのって普通だったのでしょうか?
ただし、来日時は落ち目の選手がほとんどで(ゆえにお金的にも払える範疇だったのでしょうけれど)、実績に見合う成績をスワローズで残せたかというと、そう上手くはいかないことの方が多かったようです。
最近と昔の外国人選手の成功確率を比較してみようと思った今回の記事ですが、着地したのは「昔は外国人選手が豪華だった」ということ。こんな時代があったことに慄きます。
とはいえMLBの実績など結果的には関係ないので、スワローズの国際スカウト、編成の皆さんには「ヤクルトって外国人選手獲るの上手いよね」というイメージを、これからもぜひ維持し続けてほしいと思います。
ところで最近のスワローズ
人的補償は小森選手でした。まあそうだよなと思いますが、ブレイク前夜の若手がいなくなるのは寂しいです。気になって確認してみたら、イーグルスに同タイプの選手多くないですか?右打ちで俊足の若手内野手。ぜひ競争に勝って仙台を沸かせてほしいです。