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マクガフの1年を振り返る【前編】

マクガフとダイヤモンドバックス

スコット・マクガフ。ヤクルトスワローズ2連覇の守護神。頼れるブルペンの兄貴。日本とスワローズを愛してくれたナイスガイ。

誰もいない一塁に牽制しちゃったり、アグレッシブすぎるフィールディングで野選したり、たまにとんでもないホームランを打たれたりするけど(特に吉田正尚に)、僕らの2連覇はマクガフとともにありました。髙津さんいわく、スコットは心を込めて投げる。なんて素敵な表現でしょう。

そんなマクガフが2023シーズンからアメリカに帰り、アリゾナ・ダイヤモンドバックスでプレーしています。マクガフがいなくなるのは苦しかったけれど(結果的に田口麗斗が1年間立派にクローザーを務めたのはご存知の通り)、マクガフがMLBのチームに必要とされたのは嬉しいことですし、誇りに思えることでした。

ダイヤモンドバックスの監督はスワローズにも在籍したトーリ・ロブロ。その縁でスプリングキャンプに古田敦也さんが臨時コーチに行ったりもしています。そんなスワローズと多少縁のあるダイヤモンドバックスではありますが、マクガフがいなければ日本人選手の在籍しないこの地味なチームに、ここまで魅了されることはなかったはずです。躍動する若手。奇跡的な勝ちを拾う日々。そしてダイヤモンドバックスはワールドシリーズへの幸運な旅に僕を連れて行ってくれることとなります。

まれに流れてくるマクガフのニュース。セドナレッドのユニホームで投げるマクガフの写真が目に入ってきました。僕はマクガフのユニホーム姿のある部分に目を丸くし、次の瞬間、胸が熱くなりました。はだけたユニホームの隙間からアンダーシャツの胸元にプリントされた「カタカナ」2文字が目に飛び込んできたのです。「クガ」…?ん?「クガ」!?そう。間違いありません。マクガフはアンダーシャツの胸元に「カタカナ」で「マクガフ」と入れているのです。そうか。マクガフは今もまだスワローズと一緒に戦ってくれているんだ。きっと。メジャーでも心を込めて投げているに違いない。きっと。

そんなマクガフの1年をここに振り返り、その足跡を記録しておきたいと思います。

1年を振り返る【前編】

3・4月

試合:14 回:13.2 勝:0 負:2 S:1
防御率:4.05 HR:3 三:14 WHIP:0.75

マクガフのMLB復帰登板は3/31のドジャースタジアムでのドジャース戦でした。0.1回2四球の再スタート。マクガフのプロ生活は2011年にドジャースからドラフト5巡目指名を受けてのスタートだったので、当時はたどり着けなかったドジャースタジアムに12年越しでたどり着いたということになります。4/2には同じくドジャースタジアムで、早くもメジャー初セーブを上げます。NPBでセーブを積み重ねてきたマクガフですが、メジャー初セーブは感慨深かったことでしょう。

※トップの写真の出典もこちら。

その後、たまに被弾癖をのぞかせつつ2敗しながらも、勝ちゲームの後半を中心に投げまくります。WHIPは超一流のクローザーレベル投球回を上回る奪三振数を記録し、NPBで磨いてきたスプリットがMLBでも通用することを見せてくれました。

5月

試合:12 回:16.0 勝:0 負:2 S:0
防御率:2.81 HR:2 三:21 WHIP:1.00

またしても月初の被弾癖により3敗目を喫するも、高い奪三振率を維持しながら引き続き投げまくります。特筆すべきは投球回でしょう。試合数を大きく上回る投球回を記録し、つまり回またぎも厭わない中で防御率を良化させていくマクガフ。チームの信頼を勝ち取っていきます。

5/16のオークランドでのアスレチックス戦は延長10回から12回への回またぎ。サヨナラをくらい4敗目となります。タイブレークのおもしろさと怖さを知ることになるわけですが、延長での炎の回またぎといえば、日本一を決めたあの極寒の神戸が思い出されます。

オークランドでのサヨナラ負けの次の登板は5/21のピッツバーグでのパイレーツ戦でした。マクガフはピッツバーグ近郊の出身だそうです。実はドジャースにドラフト指名される3年前に地元パイレーツから遊撃手としてドラフト46巡目指名を受けています。つまりこの日は地元への凱旋登板。彼の心境は伝えられていませんが、これもまたきっと感慨深い登板であったろうと勝手な想像。

5/27は本拠地チェイスフィールドで因縁の吉田正尚とMLBで再戦となります。今後も日本人選手との接点がニュースになるマクガフ。

順調に登板を重ねるマクガフではありますが、気になるのは負け数の多さに対して勝ち星やセーブ機会に恵まれないこと。この点についてはもどかしい日々が続きます。

ダイヤモンドバックスはというと5月段階で貯金10を作るまさかの快進撃。好調を維持して6月を迎えます。

つづく。

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