即興詩人と森鴎外と私の父
今年の春に昔暮らしていた世田谷区の世田谷美術館で、小田急線沿線作家の展覧会が行われ、私の祖父の絵と父の写真が展示された。
祖父の絵は美術館に収蔵されていて展示される予定だったが、父の写真には全く興味を持たれずにいて、見ることすらなかった。
祖父の絵をネットで見つけてそれを持って行き、その時に父の写真も展示してもらうお願いをした。やっと展示の許可をもらえた。祖父と父の作品の隣りは画家の小堀四郎さんと小堀杏奴さんの作品だった。お二人は私の小・中学校時代からの悪友のお爺さん、お婆さん。杏奴さんは森鴎外の娘で、私の悪友は森鴎外のひ孫にあたる。
その時の展示の父の作品は、イタリアのジェンツァーノで行われているインフィオラータと呼ばれる花祭りで、父はジェンツァーノの名誉市民になった。
インフィオラータを日本に最初に伝えたのは森鴎外だった。森鴎外が、デンマークのアンデルセンが書いた「即興詩人」と言う本の翻訳を1890年代に行い、その中にインフィオラータのことが書かれている。
先日、文京区にある森鴎外記念館に行って学芸員に、私の父がジェンツァーノの名誉市民になったことを話したら驚かれていた。また、私の祖父と小堀夫妻とのこと、その孫同士のことにも驚かれていた。
アンデルセンと森鴎外はこの話を聞いて、やはり驚いているのかな…