【中学数学でがんばる】修正テープ『モノエアー』の話

『モノエアー』の特徴、およびその仕組みを知らない人は↑の動画を見よう。エゲツなく詳しく解説されていて、しかもそれが分かりやすい。ちなみにこの動画は、俺が、文具王のスゴさにはじめて本格的に気づいた動画でもある。

以下、読者がこの動画の内容を完全に理解した前提で話を進める。

修正テープのテープやフィルムはたいへん薄いので、巻かれた状態のこれらを横からみれば、大きい円から小さい円をくり抜いた形になる。巻かれていない状態では長方形だが、巻かれる以前と以後で面積は変わらない。

よって、
・テープ+フィルムの厚さをD
・フィルムの厚さをd
・引き出し側の軸の半径をR0
・巻き取り側の軸の半径をr0
・引き出し側の軸に巻いてあるテープ+フィルムの半径をR
・巻き取り側の軸に巻いてあるフィルムの半径をr
・テープの全長をl
・使ったテープの長さをx
とおくと、

上図のようにRやrがxの関数として求まる。『モノエアー』シリーズにはテープの全長、すなわち容量の異なるさまざまなラインナップがあるが、これらのラインナップ間でDやdはおそらく一定であろうから、ラインナップ間の比較をする場合はこの式を用いることとなる。

一方でDやdは直接測定しにくいため、もっとも多くのテープやフィルムが巻かれているとき(巻き取り側では使い始める前、引き出し側では使い終わった後)のRやrをそれぞれRmax,rmaxとおき、これらを使って考えることにした。すると、上のようになる。

さて、動画によればギアの比は引き出し側:巻き取り側で41:15らしいから、空回りが一切生じずにΔxだけテープを使った際には引き出し側の外側は(15R/41r)*Δxだけ回るハズである。しかし、実際に回るのはあくまでΔxであるから、その差分(1-15R/41r)*Δxを解消するために引き出し側に備え付けられた機構が空回りを起こす。

・空回り機構(仮称)の半径をa
・修正テープを使っているとき真横に加えるべき力の大きさをF
・空回り機構で生じる摩擦力の大きさをf

とおく。今回は、修正テープを等速で引く場合を考える。空回り機構以外でエネルギーのムダが無いとすると、

エネルギー収支から以上のようになる。一応、これは高校生でも微分して概形を書けてしまう関数である。ただ、実際の値を代入した上でゴリゴリ計算するのは骨が折れるし、微分を知らない中学生でも可能なやり方として、今回はPythonを使う。

↑の画像は文具王の動画よりお借りした。ここに書かれている実測値を代入する。また、ここで測られているのはlが10mの商品についてである。aの値はわからない(6~7mm程度だと思う)ため、今回はF/(f*a)を調べる。

そうするとこんな感じである。横軸はxで、単位はm。縦軸はF/(f*a)で、単位は1/m。左側に微妙に変曲点っぽいものは見えるが、大まかには下に凸な増加型のグラフである。

トンボの公式ホームページに、

このようなグラフがある。これは分かりやすくするためか「消し心地」をグラフにしているということで、おそらく-F+定数だろう。今回の俺の考察は、このグラフとも整合性がとれている。

実は今回の記事を書くまでに何度か立式や計算やPythonの入力をミスったのだが、そのときはF/(f*a)が上に凸なグラフとなってしまうことが多かった。今回ようやくそれっぽい結果が得られて嬉しい。※質問やミスの指摘があったらご気軽にお願いします。


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