「滑らかなボールペン」を決めるヘビー級タイトルマッチ
果てしなき追求
https://www.instagram.com/p/CJikTHjlnda/
暇人時代に↑インスタの投稿をした。何やってたんだ俺。
油性0.7では「ビクーニャ」が、ゲル0.5では「ジュースアップ」が(普通に書いて確かめたところでは)、最強ということだった。では世界最高に滑らかなボールペンはその2つ、ということでいいのか?
否、結局のところそれらはそのインク種類、ボール径においての最強でしかない。というか、その条件が異なるボールペン同士を比較するのはよくない。
格闘技で異性同士や、異階級同士での試合が禁忌とされる理由に近い。
一般に、大きいボール径のペンのほうが、小さいものよりも滑らかだという明らかな事実があるからだ。例えば0.5のゲルインクボールペンが、いくらエッジレスチップを使ったりセラミックボールを使ったりしたといっても、オーソドックスな0.7のゲルインクボールペンには及ばない。
しかし、文具好きであることを他人に打ち明けると、話題の1つとしてよく聞かれる、
ということを。
そんなありふれた愚問に対して、我々ボールペン愛好家ならば決まってこう答えるだろう、というペンがある。
ボールペン界において、その名は絶対だ。「エナージェル1.0」、「ハイテックポイントV10グリップ」(現在廃番)、“C-310”など、水性ボールペン界には超太字級の戦士たちがいるが、彼らは「滑らかさ」という一点においては「ふでボール」には僅かに敵わないと思う。そこに議論の余地はあまりない。先に挙げたのはいずれも「準最強」の有力な候補ではあるが。
ではその「ふでボール」様とは何者なのか。このペンは、圧倒的な滑らかさを誇ると同時に、圧倒的な筆跡の太さを誇るペンでもある。そしてそのことが「筆」たる所以となっている。なんとボール径は1.5mm!現行のボールペンの中で最もボール径が大きいのは(寺西化学工業の「ボールペンキ」とかいう特殊なのを除けば)恐らくパイロットの「スーパーグリップG」などに使われる1.6mmのものなんだが、それとほぼ変わらないサイズだ。そして、「ふでボール」に使われているのは水性顔料インクである。同じボール径の油性ボールペンと比べるとかなり筆跡は太くなる。まぁ、超絶滑らかではあるけど普段使いにはあまり向かないということだ。
抗う者
https://schneiderpen.com/en_us/rollerballs/one-sign-pen-blue-xb-4004675133236/
さぁ、そんな中、新たな挑戦者が現れた(といってもシュナイダーの日本正規販売代理店であるジイテックスが取り扱いを開始したのは去年3月)!しかも異国ドイツより海を渡り!その名が「ワン・サイン・ペン」である。未だヨドバシ.comに無く、アマゾンの3本売りセットを買うしかない状況だったが、意を決しお年玉で購入。俺は、文具好きを名乗る者として、例のばかげた問いにいつでも答えられるようにしておかなければいけない、という変な使命感を感じた。
同じシュナイダー社の「ワン・ビジネス」というと、ボールペン好きならば知ってる人も多いんじゃないだろうか。アルファベット圏の筆記具にありがちな潤沢なインクフローと、低摩擦なプラスチック先端ローラー(「ユニボールエア」みたいなのを想像してくれればよい)による、非常に滑りのよい書き味が大好きだ。全身ラバーだし、なんと2,3日までならキャップをしなくても先端が乾かないというのも嬉しい。
同じくドイツのペンとしては、似た線幅で、こちらもラバーボディのスタビロ社「バイオニックワーカープラス」のほうが知名度があるかもしれない。これも滑りが非常によいペンとして知られていて、アイディアだとかインスピレーションを重んじる意識高い系たちも愛用してるんだが、「ワンビジネス」のほうが(俺の筆記角度では)ほんの少しタッチが柔らかめだと感じる。ただ金属製コーンチップの「バイオニックワーカープラス」のほうがペン先付近の視界が開けていて見やすいというメリットはある。
さぁ「ワン・サイン・ペン」の話だが、これはさっき書いた大好評「ワン・ビジネス」の太字版である。「ワン・ビジネス」も日本人の我々からすると随分太いんだが、それよりもっと太い。そのボール径は1.0mmということで、水性インクなのもあり、少なくとも「ふでボール」に次ぐ「準最強」の議論では話題に上るべき存在。ただ、「ワン・ビジネス」でのインクのダクダク感や軽い滑り方を思い出す限り、コイツなら「ふでボール」にもワンチャン勝るなんてことがありうるかもしれないのではないだろうかと気になっていた。
決着の刻
まず、筆記線の太さを比べてみよう。いやぁさすがに海外ですら「サイン」用にあたるということで、極太だねェ。角度にもよると思うんだが、ほぼ同等か?でも太さはどっちだっていい!知りたいのは、漢の純然たる夢、
ということに他ならん!!いざ、書き比べい!
割とあっさり決着はついた。やはり王者は強かった。1.5の水性ボールペンは、圧倒的に強かった。それだけのこと。
ちなみに俺は、今持ってる中での「準最強」は廃番の「ハイテックポイントV10グリップ」だと思ってんだけど、現行品に限るとどうだろう。「エナージェル1.0」かもしれないし、「ワン・サイン・ペン」な気もする。でも結局紙質とか、かける筆圧とか、筆記角度とかによっても違うしなぁ。各ペンを十数本ずつ束ねて、等しい重量になるようオモリをつけて、デッカい傾斜から静かに離して滑り落ちる速さを比べれば、動摩擦の指標にはなるのかな、なんて、ネ。
でも、そういう「汁だく系1.0」の標準よりも若干細い筆記線を描くのか“C-310”なんだよねー。セラミックボールだからなのかボールの回転がすごいスムーズに感じるのよ。確かアレは「ノンドライリフィル」つって、2,3日と限定せず、ペン先が乾かないんだよね。実用性では素晴らしい。
↑おまけ。東洋アドバンテックの“50”。なんか気がついたら水浸けて3時間半も放置しちゃってたわ。