羊皮紙買ってみたった笑
「ベラム紙」をご存じでしょうか。「ベラム」とは羊皮紙で、マーク・カーランスキー「紙の世界史」によると、厳密には羊皮紙「パーチメント」の中でも高級な子羊のものの意味なのですが、「ベラム紙」といえば一般には、クレールフォンティーヌ社で作られ、現在は「ロディア」などに使われているアノ紙のことを言うでしょう。坪量は80,90g/m^2の2種があって、趣味の文具箱36の測定記事からも分かる通り後者のほうがやや滑らかな表面となっています。
「パピルス」より遅れて登場し、紙の登場まで長く同時期に用いられました。
歴史的には羊のものが最も一般的だったようですが、今回はせっかくなので比較も兼ねて、羊と山羊のもの、そしてパピルスも、サンプル程度に購入しました。
表面は製造過程で滑らかになっていくもので、部位などによる個体差や表裏差も大きいので、羊と山羊の微妙な質感についてはあえて触れませんが、山羊のほうが白く、羊のほうはやや黄味かかっております。
そして、まず羊のほうを開封したとき、独特の匂いがしたということもここに記しておきます。その匂いというのが、獣臭いというより、どこか甘くクリーミィとでもいいましょうか、とにかく私(わたくし)は、それをどこかで嗅いだことがあるとすぐに気づきました。何を隠そう、その匂いこそかの「ベラム紙90g/m^2」の匂いにほかならなかったのであります。
「クレールフォンティーヌ」自体のブランドには、90g/m^2の真っ白い紙もちゃんとあるのですが、少なくとも「ロディア」内においては基本が80g/m^2の白色、高級版「ロディアR」では90g/m^2のクリーム色という扱い(これまた蘊蓄ですが、土橋正「文具の流儀」によればロディアはエグザコンタ・クレールフォンテーヌグループに属するまでは64g/m^2の別の紙を使っていたそう)になっておりまする。そして、他の「ベラム紙90g/m^2」が どうかは知りませんが、少なくとも「ロディアR」からは明らかに羊皮紙独特の匂いそのものがします。
これらの偶然、はたまた意図的な巡り合わせに感動を覚えつつ、ロディアの罫線の色であるエルバン「ヴィオレパンセ」で優雅に現代版「ベラム」の書き心地と匂いを楽しむであります。
P.S.私(わたくし)が今回注文をした八木健治さんという方は羊皮紙についてたいへん詳しく扱われた本を出しておられ、それもいつか絶対に読んでみたいのですが、今は金がなく、受験生なので買ったとて読む時間もない…。いつになりやら分かりませぬがそれまでお待ちくだされ。
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